2016年07月22日

ハワード・ロバーツ

前回のジョニー・スミスと並んで、ギブソン社のギターにその名をとどめているのがハワード・ロバーツ(Howard Roberts 1929〜1992)です。ジャズでよく使われるギターは、通称フルアコと呼ばれるもので、ギブソンではES-175やSuper400が有名です。表板がバイオリンやチェロのように曲面に削られていて、f字型の穴も開いているアコースティック・ギターにピックアップがついて、ハイポジションを弾きやすくするためにネックの下側がえぐられています。軽くて生音が出るのが重宝されたのか、「かしまし娘」や「玉川カルテット」などの芸人さんにも愛用されていました。ロックではイエスのスティーヴ・ハウがES-175を使っていましたが、大音量だとハウリングしやすいので穴に布を詰めて使っている人もいるようです。

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さてハワード・ロバーツがギター・デザイナーとして腕をふるったGibson Howard Roberts は小ぶりなボディで、fホールのかわりに楕円形の穴が中央に開いています。サスティンを得ようとしたのでしょうか。ほかに Howard Roberts Fusion というモデルも、製作されています。

ギタリストとしてのハワード・ロバーツは、知る人ぞ知るという感じで、とにかく録音が少ないです。15歳からプロとして活動していたそうですが、60年代以降はギター学校を作るなどして教育者としての業績が顕著だったようです。中古盤のエサ箱をあさっても、ジャズをじっくり演奏しているのに出くわすことはまずありません。でもこのアルバムは Gibson Howard Roberts でピアノトリオをバックに、スタンダードを演奏しています。

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聴いてみると、もう、とにかく巧いです。オクターブ奏法を散りばめるのが基本形で、あとはヴァイオリン奏法(ピッキングしてから小指でボリュームノブを回してふわんとした音を出す)を披露したり、エンディングのソロにファズをかけたり、くねくね変態フレーズをどさくさにまぎれに速弾きしたり、そうかと思えばねちっこいブルーズに浸ってみたり、凝ったブロックコードを弾いたりと、まことに忙しいというか、ワザ博覧会のようなアルバムでした。

2016年07月17日

熊本へ

 6月の末から7月にかけて、緊急派遣のスクールカウンセラーとして熊本市に行ってきました。東日本大震災では全国から、もちろん熊本県からも支援チームがきてくださいました。岩手から熊本に行くことができたのは、ありがたいことでした。雨続きを想定してゴアテックスのトレッキングシューズを履いて、衣類は撥水加工された化繊のアウトドアウェアを詰めました。おかげで、わりと快適に行動できました。

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 さて熊本と言えば「くまモン」ですが、駅長になっているとは知らなかった。あっちにもくまモン、こっちにもくまモンで、大活躍していました。

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 勤務は月曜日から金曜日まででしたが、前泊と後泊の必要があったので、6泊7日の日程となりました。天気予報通りほとんど雨の毎日で、余震もありました。とある小学校の校庭も、ごらんの有様です。

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こちらの学校には土砂災害を避けるために、山間地の小学校が間借りして授業をしていました。子どもたちも先生方も、大変な毎日を過ごしていることがうかがわれました。校庭や体育館で、思い切り体を動かして遊べないのは、子どもたちにとってはつらいことでしょうね。

 年配の女性に道を訊ねたら、「ぜひお城を見ていってくださいね、崩れちゃって最悪の状態ですけど……」と言われました。拝観は中止されているのですが、夜はライトアップされているそうです。街を歩けば敵を待ち伏せするためのクランクが沢山あるし、私たちが泊まっていた高校は大雨で浸水しそうになりますが、もともとは敵をひきこんで水攻めにするための低地だったそうです。そこかしこに加藤清正公の計らいが見えるような街なので、自分の家の雨漏りよりも熊本城の心配をしているような人が大勢いても無理はないと思いました。ちなみに、熊本は瓦屋根が多いのですが、瓦を焼くのがとても追いつかないそうです。職人さんもいないということで、屋根にダメージを受けた家はブルーシートがかかっています。

 街では「から揚げ屋さん」をよく見かけました。それに全国展開しているほか弁チェーン店ではなくて、「お弁当のヒライ」があちこちにあります。イートインスペースもあって、麺類も出してくれるようです。宿舎の近くにもあって、お世話になりました。ちくわにポテトサラダを詰めて天ぷらにした「ちくわサラダ」、それに「いわしハンバーグ串」です。

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 ちょっと驚いたのが、水道水が美味しいことです。聞けば熊本市は、水道水の全てを地下水でまかなっているそうです。美味しい珈琲屋さんもあるのだろうなあ……と思っていたら、ありました。「まる味屋珈琲店」は先代が昭和25年に開業されたとかで、自家焙煎店のさきがけでしょう。お店に鎮座するのは、ドイツはプロバット社製の50ポンド(18kg)焙煎機です。

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 マスターは「沢山焼いても豆が古くなっちゃうし、うっかり発火すると消防車が20台くらい飛んでくるから」と、少量ずつ焙煎しているそうです。熊本の「地コーヒー」的な豆を、お土産に買ってきました。

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生豆を1年間自然乾燥させて、極浅煎りにして、粗びきにして低温抽出です。ほうじ茶よりも薄い色で、これがコーヒーなの?って感じです。でも甘味と渋みが重厚感を出していて、生焼けだけにカフェインは多量に含まれている感じです。コアなファンがいまだに多いというのも、うなづけます。普通に挽いて濃度を上げようとしましたが、何しろ生焼けなので生臭くなってしまいます。言いつけは素直に守った方が良いですね。

 一概には言えないのでしょうが、熊本の人たちは生真面目で熱血な人が多いような印象を受けました。それでいて、フレンドリーに話しかけてくださいます。私は転勤族のような暮らしはしたことがありませんし、長期出張するような仕事もありません。せいぜい学会や研修会で2〜3日、出かけるのがせいぜいです。1週間くらい滞在してみると、その土地の色々なところが見えてくるし、顔見知りもできてくる。なんだか新鮮な体験でした。ガイドブックやネット情報なしで、自分の目で見て歩き回ったのも良かったと思います。

 今回は熊本市教育委員会、熊本県臨床心理士会、訪問した小中学校の先生方、それに生徒さんたち、地元の人たち、皆さんにお世話になりました。どれほどお役に立てたのかとも思ってしまいますが、支援を通して人のつながりを感じることができたなら、お互いにとって良かったのだと思います。東北もまた復興への道のりは遠いですが、一歩ずつともに歩んでいきましょう。