2019年01月26日

中牟礼貞則

唐突ですが、もちろん日本人にも素晴らしいジャズ・ギタリストはいます。あの人、この人……と指折り数えていくと、すぐに両手がふさがってしまいます。有名ということになると、まず出てくるのは渡辺香津美さん。17歳でファースト・アルバムをリリースした天才児も、はや60代半ばです。その香津美さんの師匠として知られている方が、中牟礼貞則(なかむれ・さだのり)さんです。御年85歳になる現在、ご自分で「末期高齢者」などと言いながらも、飄々とライブをこなしていらっしゃるらしい。ギター仙人と呼ぶに相応しい方です。

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東京に住んでいた頃は、よくジャズのライブを聴きに行きました。移転する前の新宿PIT INN とか、下北沢T5とか、西荻窪アケタの店、新宿タロー、池袋要町のデるブとか。どの店もミュージシャンとの距離が近くて、とくにタローなどは演奏者が5人なのに客が4人だったり、休憩になるとミュージシャンが客席で休むなんてこともありました。サシでじっくり語られると言うか、逃げようにも逃げられない感じですね。むろん逃げようなんて気はなくて、こんなに良い音楽なのになんで人気がないんだろう……などと思っていました。

「ムレさん」はそんなアンダーグラウンド?お店で、ギブソンの175から美しい音を紡いでいました。渡辺貞夫さんが日本でボサノバを広めていた時には片腕として活躍した頃から、キャリアも知名度も抜群なのに、知っている人には気さくに声をかけていらっしゃいました。ジム・ホールの影響は受けているのでしょうが、それだけではない。録音が少ないのが惜しまれます。

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「Intercross」はギタートリオの構成ですが、多重録音のトラックも入っていて、これがまた聴きごたえがあります。お元気で活躍を続けられることを、願っています。