2019年11月22日

エド・ビッカート

カナダ出身のジャズ・ミュージシャンで、まず有名なのはピアノのオスカー・ピーターソンですね。そりゃもう圧倒的に上手いんだけど、ヴォーカルも良かったらしいです。あのナット・キング・コールと「二人とも弾き語りだと仕事の取り合いになるから、歌かピアノかどっちかに専念することにしよう」と言われて、彼はピアノを選んだとか。ドン・トンプソンなんて言う人もいた。ベースが本業らしいけど、ピアノもドラムスもヴィブラフォンも達者で、「ひとりMJQ」ができちゃうそうです。ここまで器用になっちゃうとナンバーワンには届かないだろうけど、仕事には困らないでしょう。

エド・ビッカート(Ed Bickert 1932〜2019)は、ギターしか弾きません。それもジャズではおよそ使われない、フェンダーのテレキャスターです(さすがにフロント・ピックアップは、音の太いハムバッカーに換えてあるようです)。テレキャスターはコンデンサーをかました独特のクリアトーンが魅力なんですが、「ジャズ・ギター」のぶっとい音は望むべくもありません。それに重いから、疲れると思うんだよね〜。それでも使うのは、おそらくは音色だけじゃなくて、ハイポジションを押さえやすいからでしょう。この人の弾くコードは展開が巧みで、流れるようにスムーズなバッキングです。そしてよほど手がデカいのか、ひょっとしたら歯でも動員しているのかと思わせるような音の重ね方。有名ギタリストにありがちな、速弾きがすごいとかじゃなくて、バッキングの大名人です。

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アルトサックスのポール・デスモンドがツァーにジム・ホールを誘ったのですが、ジムの都合がつかなくて、このエド・ビッカートを推薦されたそうです。ジムだけに事務的に推薦した……のではなくて、世に出て欲しい人が選ばれたのですね、きっと。これが大抜擢となって、ツアーだけじゃなくて録音にもつきあうようになりました。エドのリーダー作は入手困難になってしまっているので、私がおったまげたポール・デスモンドのリーダー作をあげておきます(Pure Desmond / Paul Desmond CTI 1975)。

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