あちこちで知人から、「コロナで、忙しいのではないですか?」と聞かれます。そういう質問が多いということ自体が、コロナのストレスを実感している人が沢山いるということでしょう。実際には「コロナ禍がストレスで、まいってしまった」という相談はありません。でも「コロナがなかったら、それなりに気分転換をして適応できていただろうな」と思うような人が、抑うつ的になって相談室にみえるように感じています。
いわゆる行楽や宴会が必要だということではなくて、地域の中での、何気ない会話というのは大事かなと思います。たとえばゴミ出しに行ったときに、集積場で「朝から暑いですね」と声をかけると、「ん、だなはあ」とニッと笑うお爺さん。それ以上に話が続くことはめったにないけど、でも同じところに暮らして、同じ暑さを味わっているという共感でつながることができます。

わが家の玄関先には、鉢植えを置いています。もう長いこと、妻がしてくれているのですが、ずっとファンでいてくれるご近所さんもいるようです。「写真に撮らせてね」と、毎年の花を妻よりもよく憶えていたりします。もちろん自分たちが楽しいからしていることですが、通り行く人の気持ちをなごませたり、会話のきっかけになっていたりするなら、うれしいことです。
私自身は、早起きして散歩に出るようにしています。コロナのストレス対策で始めたのですが、習慣になると「これで一日が始まる」という感じで、止められなくなっています。歩きながらだと、ふだんとは違った考えが浮かんでくるのにも気がつきました。と言いますか、ふだんあれこれ考えていることが、歩きながらだと「これで行こう」みたいな感じでひらめくんですね。あとは月なみですが、アウトドアで自然の中に身を置くこと、でしょうか。自分も「生きもの」のひとつとして、生かされてきて、そして消えてゆく。その流れを身体で感じていると、気分がさっぱりします。
さっぱりする、ためにもう一つしていることがあります。「ペンフィールドのホムンクルス」はどこに神経が集中しているかを示しています。顔と舌、それに手ですね。朝起きて顔を洗う時に、ゆっくり時間をかけて、顔を掌と指でなぞるようにしています。汚れを取るとか、そういうことではなく、ですね。これで顔と手をゆるめて、リラックスしようという算段なのです。自分では満足しているのですが、さて皆さんのお役に立つでしょうか。簡単にできる工夫として、試してみていただければと思います。