ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)は、アメリカのスティーブン・ポージェス博士がまとめた、自律神経についての理論です。私もまだ学び始めたばかりで、ここで適切に分かり易く説明する力はありません。申し訳ありませんが、ご興味をお持ちの方は検索をかけて情報を集めてみてください。私が書きたいのは、理論そのものについてではなくて、これからの心理療法に大きくかかわってくるだろうという予感についてです。
心理療法には多くの学派があり、技法もさまざまです。私自身も複数の理論を学んで、技法も組み合わせて用いています。ケースについて「この人が回復していったのは、どうしてなのだろうか?」あるいは、「この人の面接がうまくいかなかったのは、何故なんだろう」と考えます。これまでの理論的な枠組みで考えて説明がつくこともあるし、なかなか説明がつかないこともあります。それがポリヴェーガル理論に照らし合わせて考え直すと、よく見えて来るのです。
いまはもっぱらトラウマ治療で参考にされているようですが、さまざまな心理療法のメタ理論として機能するのではないか、そんな感じがしています。ポリヴェーガル理論に反するようなことは、面接の中でしない方が良いと考えます。またゴールの設定や、いまどこまで回復しているかについても、ヒントを与えてくれるでしょう。心理療法は統合の時代を迎えているとも言われていますが、ポリヴェーガル理論はひとつの柱となってくれそうです。