2023年05月27日

少子化と地域の安心感

「少子高齢化」が長く続いて、「無子単身化」が続く日本。政権はお金をつぎ込んで子どもを増やそうとしていますが、その効果については、疑問視する意見も多いようです。若い人たちが「家族が増えると楽しい」よりは、「いま生きるだけで精一杯」だったり、「増えない方が心配が少ない」というような世の中になっているのではないでしょうか。

「少子化マインド」は、戦後の復興、高度成長の後遺症ではないかと考えます。戦前の家長制度が廃止されて、「家」のあり方が大きく変わろうとしたときに、その受け皿になったのが「会社」だったように思うのです。しっかりした会社に入れば、衣食住の心配がないだけではなく、家族まで含めた福利厚生がありました。定年退職するときには退職金と厚生年金、あるいは企業年金も用意されていて、老後の心配もない。結婚をしたら家を買って、ローンを返しながら定年を迎えるまで必死に働く。その間、「家族」や「家庭」はないがしろにされていました。家族との暮らしそのものを楽しむよりは、仕事で業績を上げるとか、単身赴任をしてでも昇進を望むとか、個人の達成や組織への貢献が重要視される時代。個人主義とは言いますが、家族で支え合うことを忘れてしまったかのようです。

親戚づきあいや、地域での交流、そして宗教も、「会社」の前では無意味になっていたと思うのです。もっとも宗教に関して言えば、日本の僧侶は宗教家というよりは葬祭業者になってしまっているので、これは江戸時代からの引継ぎです。そしてインターネットとSNS、ゲームの流行による、「対面」と「会話」の激減。そこにコロナが追い打ちをかけました。このごろ何だか、ヘンな事件ばかりが増えていると思いませんか? 安心感が減っていると思うのです。だれがどんなことを考えていて、いきなり何をしだすか分かったものではない、それは怖いことです。地域の中でちょっとした会話があるだけで、ずいぶん違うと思うのですが……。

いま自分がしていることは、散歩などで会った人に、なるべく話しかけることです。今週は川べりでナマズ釣りをしていた人、スケボーで遊んでいた中学生、飼い猫と(!)散歩している人……ちょっとした会話でした。だれかれかまわず話しかける、ヘンなおっさんと思われるかな?
posted by nori at 20:10| Comment(0) | TrackBack(0) | よしなしごと