スクールカウンセラーの仕事は、1999年から始めたような気がします。週に1回、午後から高校に行きました。当時勤めていたクリニックには、当直の仕事がありました。入院患者がいたので、雑用や電話番、夜間の診察が必要になったら隣の院長宅に電話をする、などが業務でした。そのまま午前の勤務をしたら、午後は休みだったのです。そこにスクールカウンセラーを入れてもらって、家計の足しにしていました。若かったから、できたんだと思います。
2002年からは自分で相談室(あゆみカウンセリングルーム)を開くとともに、週に3日をスクールカウンセラーに充てるようにしました。岩手県の、そのまた小さな町です。相談室だけでは、生計を立てるのは大変だと思っていました。お金で気をもんだり、がつがつしたくないという気持ちもあり、生活費を稼ぐためにスクールカウンセラーに出る算段をしました。
それでもやっていくうちに面白味が出て来て、相談室と車の両輪のような形になっていきました。相談室を維持するためのアルバイトと言う面もあったけど、逆に相談室での経験を学校で活かすという面もありました。この仕事に就くことができたのは、ラッキーでした。何といっても、子どもたちは可愛いです。小学生は素直で可愛いし、中学生は生意気で可愛いし、高校生は頼もしくて可愛い、そんな感じでした。忘れられない出会いも、沢山もらったような気がします。
自分が20代の頃は、思春期の人たちに会っていると、彼らの言い分に共感しやすいということがありました。
「うん、そうだよね。親からそんなことを言われちゃうとね……」
なんて感じでしょうか。それが40代になると、「親の気持ちも、分かるかな」みたいな、親の目線も入って来る。60代になったら、もう爺さん目線です。子どもの気持ちも、親の気持ちも、両方とも「一生懸命、生きてるね。応援してるよう」みたいな。「孫は可愛い」という気持ちも、味わわせてもらえました。
体力的にはまだ問題はないのですが、辞めることにしたのは、色々な事情がからんでいました。親の世話をするために時間を使う必要が出て来たのが、いちばんです。そろそろ若い人たちに譲っていかなくては……とも思いました。仕事を相談室一本に絞るということになれば、ある意味これからが本番ということかもしれません。