ご存知の方も多いと思いますが、原作はマンガです。テレビドラマ化されて、そして映画になりました。サラリーマンの夫がうつ病になり、診断を受けて回復に向うまでのプロセスが描かれています。全体としての印象は患者さんがどんな体験をするのかや治療の進め方、家族としての見守り方、周囲からのNG発言まで網羅されていて、啓蒙的な意味でも良くできた作品だと思います。監修をされた五十嵐良雄先生の力も、大きかったことと思います。
「うつ病は心のカゼ」というセリフが登場しますが、この言葉には功罪があるように思います。精神疾患に偏見を持たずに受診したり、周囲の人々が見守ることはとても大切なことで、その意味では「心のカゼ」は良いと思うのです。でも命に別状はなく、安静にしていれば跡形もなく完治するカゼのイメージと、そぐわない現実もあることは確かです。治っていくのに時間がかかる人もいますし、自殺を試みる人もいます。治療では心理的・社会的な要因が濃厚な患者さんにも、抗うつ薬の処方のみにとどまっていることがとても多いと思います。「心のカゼ」は、製薬会社が流行らせたい言葉ではないかな、と思ってしまいます。
ところで主人公の夫婦はイグアナを可愛がっていて、そこに途中から子ガメも加わります。いずれも爬虫類ですが、彼らはうつ病にならないでしょうね。爬虫類は変温動物なので、気温が良ければ活動して、寒くなれば動かなくなるしかありません。環境に大きく依存した生活を送っているので、無理に頑張ることもないし、頑張っても仕方ないし、頑張れない自分を責めることもない。でも私たちほ乳類は気温がどうであれ、体温を一定に保って同じレベルで行動しています。レベルを保つのが当り前になってしまっていて、保てなくなったときに反応を起こすのですね。そうかと言って諸行無常の悟りを開くのは私のような凡人には難しく、悪あがき?の毎日です。
2015年02月04日
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