2015年05月27日

被災地にスクールカウンセラーを

 岩手県の沿岸部には、震災復興の国費で数名のスクールカウンセラーが派遣されています。関東や九州など遠方から移住して、複数の小中学校を担当しているので、巡回型カウンセラーと呼ばれています。岩手県のスクールカウンセラーは盛岡市に住んでいる人が多いので、もともと沿岸部ではスクールカウンセラーが不足していました。被災地の子どもたちの健やかな成長を支えていくうえで、彼らの存在はとても大きいのですが、今年度は国の予算が大幅に減らされたという話が聞こえてきました。「来年度の巡回型カウンセラーの予算がつかなかったら大変なことになる」と心配する、教育関係者もいます。私も心配しているので、こうしてここでささやかな発信をしています。
 「震災から5年が経ったのだから、子どもたちの心理支援はもういいんじゃないの?」とお考えの方も、いらっしゃるかもしれません。でも実際には避難訓練のサイレンの音でパニックになってしまう子もいるし、今になってやっと「怖かった」と言えるようになった子もいます。とくに気になるのが、いま小学校の低学年の子どもたちです。彼らは親に抱かれて津波から逃げたり、避難所で生活をしたり、十分な世話を受けられなかったりしています。幼かったので衝撃は大きかったはずですが、その記憶はないでしょう。幼少期の記憶は4〜5歳からなのは、言葉の力がついてストーリーを作ることができないと、記憶できないからです。震災のときに年長さんであれば「津波のときには友だちと逃げて怖かった」などと思い出せるでしょう。でも年少さんだったら、体験したことを思い出すことができません。2〜3歳に強いストレスが加わると、その後の成長に影響が出るとはよく言われていますが、彼らがどのように中学校生活を送るのかが気がかりです。子どもたちの心理支援は、震災から十年間は必要だと考えます。被災地からスクールカウンセラーが引き上げることにならないように、皆さんにご理解いただけるとありがたいです。
posted by nori at 20:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 東日本大震災
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