冷蔵庫サイズの大型システムで、低音を受け持つウーファーは15インチ(38cm)、中高音を受け持つのはバイラジアルホーンの2ウェイです。私はJBLはあまり好みではありませんが、それでも4ウェイのスタジオモニターとかよりはこちらの方を好ましく感じていました。
でも試聴している店主氏と三人のお客の関心はスピーカーではなくて、電源ケーブルのようでした。ケーブルをこっちに換えたり、あっちに換えたりして何だかんだと言っています。これは電線病と言われる、世にも恐ろしいビョーキの世界です。まあそれは置いといて、ともかく低音が出過ぎなんですよ、私の基準からしたら。パーシー・ヒースのベースがぼわんとふくらんで、反応が鈍い。「さすがJBLの大型スピーカーだね、この低音はシビレルよ!」とか言う人がいても、もちろんそれはアリなんだけど、私はタダでくれてやると言われてもノーサンキューです。
オーディオ店主氏は「下の方が30Hzくらいまで伸びていないと、オーケストラの再生はつまらない」と言います。ホールトーンをしっかり出そうとすると、そうなのかもしれません。でも低音の再生周波数と量感、質感を満たそうとするとハードルがものすごく高くなります。15インチ口径のウーファーを使うなら、波長の長い低音を飽和させないために、部屋の広さは20畳以上は必要でしょう。造作だって並のものでは、壁や床が共振します。
安直に低域のレンジを広げるとか、量感をアップさせるというなら、スーパーウーファーという手もあります。映画をド迫力で楽しんだりするのなら良いのでしょうが、音楽を聴くとなるとこれまた泥沼の世界らしく、結局は使わなくなってしまう人がほとんどのようです。私もかつて安直に低音を稼ごうとして、スーパーウーファーを使ってみたことがありますが、やはり使わなくなって処分してしまいました。
「原音再生」をあきらめて、低音のレンジを欲張らなければうんと楽になります。70Hzまで出ていれば、まず良しとしましょう。そうすればコンパクトなブックシェルフタイプのスピーカーで、反応の良い低音を楽しむことができます。ニア・フィールド・リスニングと言うらしいですが、要するにかぶりつきです。スピーカーはスタンドに載せて、後ろの壁から30〜40cmは開けます。左右のスピーカーとリスナーの顔が、それぞれ正三角形の角になるようにします。スピーカーは糸を張ったりレーザー墨付き機を使ったりして、厳密にセッティングします。ちょっと姿勢を変えただけで音が変わったりもしますが、ピッタリはまればスピーカーの存在が消えて、音源がピンポイントで定位する桃源郷に浸ることができます。これまた、ビョーキでしょうかね。
