2015年12月25日

フレディ・グリーン

ジャズはピアノ、ベース、ドラムスの三人(いわゆるピアノトリオ)に、管楽器が加わる編成が多くを占めています。ギターは多くの人に親しまれている楽器でロックには欠かせませんが、ジャズの世界では何とも中途半端というか、いてもいなくてもいいようなマイナー楽器なのです。管楽器のように情感あふれるソロを吹けるわけでもなく、バックに回ればピアノと音域が重なります。それでもジャズに参入したギタリストは数知れず、それぞれに魅力的な録音を残してくれています。

フレディ・グリーン(Freddie Green 1911〜1987)は、カウント・ベイシー楽団のギタリストとして有名です。猛烈にスイングするビッグバンドの屋台骨を支えた、偉大なプレイヤーでした。50年もの間、ひたすら4拍子のリズムを刻むことに専念して、不覚にもソロをとってしまったレコードが一枚だけあるらしい……という凄い人です。

freddiegreen.jpg

こんな風にギターを寝かしてピックで弾くのですが、アンプを使わずに生音だけでビッグバンドをスイングさせてしまうのです。しかもフォークギターのようにジャカジャカかき鳴らすのではなくて、一度にせいぜい3本しか弦を鳴らしません。

opusinswing.jpg

カウント・ベイシーのたいがいのレコードには入っているフレディ・グリーンですが、その至芸をじっくり味わうには、スモールコンボも良いと思います。Opus In Swing / Frank Wess (1956) はカウント・ベイシー楽団の同僚だったフランク・ウェス(ts)がリーダーで、ここではもっぱらフルートを吹いています。まだ新人だったケニー・バレルもギターを弾いているのですが、偉大な大先輩にリズムを刻ませてソロをとり続けるのは居心地が悪かったかもしれません。優しくスイングする、心地よいレコードです。
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