2016年03月09日

バーニー・ケッセル

昔のロックシーンで、「三大ギタリスト」という言葉がありました。ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、エリック・クラプトン。「三大○○」が大好きな日本人ならではの現象でしょうが、モダン・ジャズ最盛期の1950〜60年代に活躍した三大ギタリストとなると、どうなんでしょうね。このバーニー・ケッセル(Barney Kessel 1923〜2004)は、確実に「三大」のひとりに値するギタリストでしょう。ジャズギター中興の祖、チャーリー・クリスチャンのスタイルを受け継いで、ピックアップもクリスチャンのモデルにつけかえていたようです。シングルトーンの唄わせ方も、スムーズなブロックコードによるアドリブも、とにかく巧いです。素晴らしい。

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もともとオクラホマ州からロサンゼルスに出てきて、スタジオミュージシャンとして大活躍していたようです。ハリウッドの映画産業から仕事をもらって、豪邸に住んでいたのではないでしょうか。だからオスカー・ピーターソンのバンドに加わっても、旅回りに嫌気がさして辞めてしまったりしています。ジャズに生活をかける必要もなかったし、白人だから人種差別で苦しい思いをすることもなかったでしょう。そうした屈託のななさが根底にあって、明朗快活にスイングするのが彼のギターのような気がします。

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「ポール・ウィナーズ」は1957年に録音された、5枚目のリーダー作です。人気投票で1位になったギターのバーニー・ケッセル、ベースのレイ・ブラウン、ドラムのシェリー・マンによるトリオで、名手たちによる演奏を堪能できます。「録音が右と左にきっぱり分かれている」と文句を言っていた人がありましたが、ステレオ初期の録音はそんなものです。それどころか録音技師ロイ・デュナンによるくっきりした音づくりと、コンテンポラリー・レコードのハイテク機器(なんとレコードの内周の歪みを解決していたそうです)による原盤制作は、当時は驚愕をもって迎えられて、他社が躍起になっても近づけなかったそうです。「古き良きアメリカ」の香りがします。
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