それにしては晩年の写真を見ると、猟銃が何丁も飾られていたり、パイプをくわえていたりして、とりあえずカネは持っていそうな雰囲気ですな。それもそのはず、このブログのタイトルにもなっている Walk Don't Run を作曲したのが彼なのです。ベンチャーズが大ヒットさせたおかげで、好きな仕事だけして、左うちわの生活をしてきたんでしょう。

写真のギターはギルドのジョニー・スミスモデルですが、ギブソンもジョニー・スミスを作っていて、両者のもとになっているのは、彼のディアンジェリコだったらしい。この人はサスティンに非常なこだわりがあったようで、それが彼のモデルに反映されているそうです。ジャズ史に残る名盤は残さなかったけれど、ギター史に残る名器は残してくれました。

「バーモントの月」には、スタン・ゲッツ(ts)も入っているけれど、丁々発止のかけ合いなんぞ期待してはいけません。リラックスして楽しんでください。ひたすらきれいに流れるムードミュージックの中に、チラッとスパイスの効いた瞬間が訪れるという感じです。スミスはギターを何のひっかかりもなくサラっと弾いていますが、おっそろしく難しいことをやっているような感じです。「オレがオレが……」とがっついてくるようなジャズではないから、受けなかったんだろうか。