2016年10月11日

ケニー・バレル

ケニー・バレル(Kenny Burrell 1931〜)は、御年85歳。いまでも音楽活動をしているかどうかは不明ですが、近年までライブをしていたようです。ご本人のフェイスブックはきわめてスローペースながら、更新されています。テナー・サックスのソニー・ロリンズとともに、1950年代から活躍したモダン・ジャズの巨匠としては、数少ない生き残りです。何しろこの世代の方々は、ヘンなおクスリのために命を縮めていることが多いので、長寿はまれなんです。

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ケニー・バレルと言えば、ブルースです。ブルースはもともと12小節で定型のコード進行をすることと、ブルーノートと言われる音(3度、5度、7度のフラット)を多用するのが特徴(なのかな?)の形式を指していて、淡谷のり子(古い!)の「別れのブルース」とかではありません。Now's The Time のようにジャズでもこの形式に乗っかった曲はありますが、バレル師は何を弾いてもブルースのように聴かせてしまうのです。これが好きな人にはたまらない魅力で、長らく人気ギタリストとして活躍していたのもうなづけます。あのB.B.キング( Blues Boy King)も「世界一のギタリスト」と絶賛していたし、私も大好きです。とくにライブ盤なんかでフレーズがコケようがミストーンになろうが気にしないで弾き切ってしまう、思い切りの良さがバレルの真骨頂だと思います。

しかしご本人は実に器用な人で、ギターのテクニックはもちろんのこと、ナチュラルな音質の研究にも余念がなく、歌も上手いしベースもイケる(らしい)し、ガットギターでクラシック風の演奏をすることもあって、「ブルース馬鹿一代」みたいな感じではありません。一見すると知的でクールでも、身体には熱い血がたぎっている、そんな二面性が彼の魅力かもしれません。

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Kenny Burrell vol.2(Blue Note)はブルーノートのファーストアルバムの残り曲や、ケニー・ドーハム(tp)のライブに飛び入りしたもの、ギター・ソロなど、いくつかのセッションを寄せ集めしたアルバムで、代表作とされる Midnight Blue とは違った趣きがあります。アンディ・ウォーホルのジャケット画も、カッコいいです。
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