
ケニー・バレルと言えば、ブルースです。ブルースはもともと12小節で定型のコード進行をすることと、ブルーノートと言われる音(3度、5度、7度のフラット)を多用するのが特徴(なのかな?)の形式を指していて、淡谷のり子(古い!)の「別れのブルース」とかではありません。Now's The Time のようにジャズでもこの形式に乗っかった曲はありますが、バレル師は何を弾いてもブルースのように聴かせてしまうのです。これが好きな人にはたまらない魅力で、長らく人気ギタリストとして活躍していたのもうなづけます。あのB.B.キング( Blues Boy King)も「世界一のギタリスト」と絶賛していたし、私も大好きです。とくにライブ盤なんかでフレーズがコケようがミストーンになろうが気にしないで弾き切ってしまう、思い切りの良さがバレルの真骨頂だと思います。
しかしご本人は実に器用な人で、ギターのテクニックはもちろんのこと、ナチュラルな音質の研究にも余念がなく、歌も上手いしベースもイケる(らしい)し、ガットギターでクラシック風の演奏をすることもあって、「ブルース馬鹿一代」みたいな感じではありません。一見すると知的でクールでも、身体には熱い血がたぎっている、そんな二面性が彼の魅力かもしれません。

Kenny Burrell vol.2(Blue Note)はブルーノートのファーストアルバムの残り曲や、ケニー・ドーハム(tp)のライブに飛び入りしたもの、ギター・ソロなど、いくつかのセッションを寄せ集めしたアルバムで、代表作とされる Midnight Blue とは違った趣きがあります。アンディ・ウォーホルのジャケット画も、カッコいいです。