2017年01月19日

ハーブ・エリス

 いまはクロだシロだという話は聞かれなくなりましたが、昔はジャズミュージシャンについて黒人だからどうの、白人だからどうのみたいなことを言う人がいました。たとえば黒人の方がソウルがあるとか、白人は音楽教育を受けているので譜面に強いとか。ジャズはもともとが黒人の音楽なので、ミュージシャンは圧倒的に黒人が多いのですが、ギタリストに限っては白人の方が多いようです。カントリーミュージックでギターになじんだ少年がジャズに目覚めて……ということがよくあったのでしょう。カントリーは白人の音楽で、アメリカではとても人気があります。ジャズは「どこに行けば聴けるの?」なんて感じで、日本で言えば津軽三味線のような位置づけではないでしょうか。

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 粘っこいブルースフィーリングよりも、サラっとしたカントリーっぽいギタリストと言えば、やはり白人のハーブ・エリス(Herb Ellis 1921〜2010)でしょうか。1950年代のオスカー・ピーターソン・トリオでの活躍で名高い人で、シングルトーンのソロがよく歌います。小細工のテクニックよりも、こういう聴かせ方をするのは本当に上手い人だと思います。でもバッキングでチャカポコと合いの手を入れるのは、サービスしすぎのような気がしないでもありません。Verveの名盤、Nothing But The Blues はロイ・エルドリッジ(tp)とスタン・ゲッツ(ts)の2ホーンを迎えて、気持ちよくスイングしています。

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