2017年04月18日

ジャンゴ・ラインハルト

ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt 1910〜1953)は、ベルギー生まれで主にフランスで活動したギタリストです。ジャズの世界では、ヨーロッパが生んだ初めての一流演奏家でしょう。ロマの旅芸人をしていた彼は、キャラバンの火事を消そうとして、大やけどをしてしまいました。左手の薬指と小指を自由に使えないという、ギタリストとしては致命的な後遺症が残りました。しかしジャンゴは猛練習を積んで復帰しただけではなく、その障害ゆえのユニークなコード進行や右手を忙しくかき鳴らす奏法を身につけて、神業的な演奏を披露しました。ジャズのみならず、ロックなどジャンルの異なるギタリストたちからも、広く敬愛されていました。それは伴奏楽器にとどまっていたギターを、ソロを取れる楽器にまで引き上げた功績によるものでしょう。

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 ちなみにMJQ(Modern Jazz Quartet)で活躍したジョン・ルイスが、彼の死を悼んで、1954年に"Django"という曲を書いています。もちろんMJQの演奏でも楽しめますが、ギタリストによる演奏で有名なのはジョー・パスが演奏したものです(For Django / Joe Pass 1964)。

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 ジャンゴ・ラインハルトの音楽には、障害克服とか超絶技巧とか、そんな気負いはありません。気まぐれな放浪生活を愛して、ずいぶんイキな暮らしをしていたらしい。3本のギターとヴァイオリン、コントラバスで構成された「フランス・ホット・クラブ5重奏団」の「ジブシー・スイング」とも呼ばれる音楽はフランスのエスプリにあふれています。ヴァイオリンのステファン・グラッペリも素晴らしい。この「イン・メモリアル」では、テナーサックスの巨人、コールマン・ホーキンスも聴くことができます。

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