
二眼レフというのは下のレンズが撮影用で、上のレンズは反射式(レフレックス)のファインダー用ということで、二眼レフなのです。太い(つまりは高い)フィルムで12枚しか撮れないので、バシャバシャ景気良く撮るわけにいきません。上からのぞくファインダーは左右逆に映るので、動いているものを撮るのは無理です。接写は苦手だし、ちょっと暗ければ三脚が必要になるし、セルフタイマーは外づけです。どだい、撮影の手順がすごいです。ファインダーを開けてかまえる、フィルムを巻く、構図を決める、ピントを合わせる、露出を決める、シャッターをチャージする、そしてシャッターを切る。記念写真用、でしょうか。
デジカメやスマホで撮影して、すぐに見れるのは便利です。充電さえ怠らなければ、タダ同然で大量に撮影できます。その代わり、「写ってる!」だけで感動することはありません。思い切り手間ひまをかけて、精巧なローライのメカや、シュナイダー製レンズの描写を味わうのも良いものでしょう。60年前の機械でも、整備さえすれば今でも当時と同じように動くのは、まさにローテクの勝利です。……でもテスト撮影している間に気づいたのは、フィルムの現像まではアナログだとしても、プリントはスキャナーをかけてデジタルでやるに違いないということでした。とことんアナログにこだわるなら、モノクロフィルムを入れて(今やモノクロの方が高価です!)、自分で現像、引き伸ばしをするしかありません。学生の頃にさんざんやっていたので、今でもやろうと思えばできるのですが、暗室も機材も時間もありません。レンズで焼いてくれるラボって、まだあるのでしょうか?
「蓄音機でSP盤を聴かせてくれるおじいさん」になったような、気分です。