2020年01月29日

アッティラ・ゾラー

一般的な人気はないけれど、玄人受けするというか、ミュージシャンにも影響を及ぼすような人を「ミュージシャンズ・ミュージシャン」と言います。アッティラ・ゾラー(Attila Zoller 1927〜1998)は、その代表格かもしれません。ハンガリーに生まれ、プロのバイオリニストだった父親からバイオリンの手ほどきを受けたそうです。学校をドロップアウトしてブタペストのクラブでジャズを演奏するようになり、ソビエト侵攻から逃れるためにギターを担いでオーストリアまで歩いたそうです。アメリカから来ていたオスカー・ペティフォード(b)やリー・コニッツ(as)からアメリカに行くように勧められて、奨学金を受けてジャズを学んだそうです。ジム・ホール(g)の生徒になり、ルームメイトはフリージャズの開祖になったオーネット・コールマン(as)だったとか。

zoller.jpg

コマーシャルなハービー・マン(fl)のグループでデビューして以来、共演したミュージシャンはスイングのベニー・グッドマンから、フリーのアルベルト・マンゲルスドルフ(tb)、ラテンっぽいカル・ジェイダー(vib)、そしてあのジミ・ヘンドリックスまでと幅広かったようです。亡くなる直前はオーソドックスなモダンジャズのトミー・フラナガン(p)とツアーに出ていたとか。だれとでも合わせられる、そしてだれとも違うスタイルを作るということは生半可ではなく、ワン・アンド・オンリーなギタリストとして尊敬を集めていたと思われます。

ビバップでもフリーでもなく、ましてやロックでもなく、いわく言い難い不思議なフレーズを高度なテクニックでつむぎ出す演奏は、凄いのはよく分かるけど、凄いとしか言いようがない……。という感じでしょうか。亡くなってから、師匠のジム・ホールや弟子のパット・メセニー、その他大物ミュージシャンが参加した追悼アルバムが作られました。波乱万丈の人生を送りながら、教育者としても活躍していたようです。ドイツのenjaから発売されていたこのアルバム、Common Cause はロン・カーター(b)、ジョー・チェンバース(ds)とのトリオで、彼のギター・プレイをたっぷり味わえます。

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