精神病院の、それも閉鎖病棟を舞台にしたドラマです。原作者の帚木蓬生さんは、精神科医で作家です。わたしは原作を、何年も前に読みました。それも二回、三回と読み返した記憶があります。わたしは古書店で買いましたが、出版された当時は山本周五郎賞を受賞してベストセラーになっていたようです。
原作から改変されているところもありますが、見ごたえのある映画でした。俳優陣も好演していて、主演の笑福亭鶴瓶、性虐待を受けていた少女役の小松菜奈、看護師の小林聡美はリアリティがありました。綾野剛の体当たりの演技にも好感をもちましたが、爽やかな人柄がチュウさんのイメージとはズレを感じました。
精神病質(サイコパス)の渋川清彦には、鬼気迫るものを感じました。映画では「ヤク中」ということになっていましたが、それでは薬物中毒の人たちにちょっと悪いと思います。人の心の痛みに全く共感できず、自己中心的・刹那的に生きているのが精神病質で、平たく言えば生きる価値もないクソ野郎です。まるでその通りに演じているので、インパクトがありました。
<精神疾患=頭がおかしくなった人>、というイメージをもっている人もいるかもしれません。でも彼らも私たちと同じ感情を持っています。良いことがあれば嬉しいし、悪いことがあれば悲しい。人から必要とされれば嬉しいし、困っている人には同情します。傷害や殺人の事件を起こした患者が無罪になるとか、ならないとか、そんな話題になると、彼らは「無罪にしないで欲しい、自分たちが偏見を受けて迷惑をする」と言います。
ちょっと気になったのは、精神病院には、あそこまでヘンな人たちがそろっているわけではありません。盛り立てるためとはいえ、ちょっと誇張に過ぎているような感じも持ちました。
