NHKの番組を見ていたら、太平洋戦争から復員した日本兵による虐待が報道されました。父親から子どもの頃に受けていた暴力でトラウマを負い、いまも苦しんでいる人たちがようやく声を上げ始めたということでした。いつまでリンクが生きているか分かりませんが、しばらくは番組の詳細を見ることができると思います。
戦跡 ー薄れる記憶ー
https://www3.nhk.or.jp/news/special/senseki/article_121.html
病院でけいれん発作を起こしている兵士の、衝撃的な映像もありました。病院に連れていかれた人はまだ幸運な方で、戦闘行動が取れない人は「廃兵」として戦場で自殺を強要されるか、その場で射殺されていたのではないかと思います。それはトラウマ障害だけでなく、傷病者になってしまうとみな同じような運命だったと思われます。ひとたび招集されてしまえば、「皇軍の恥」として降伏することは許されません。
当時の日本は、天皇のために死ぬことが強要される、そういう国でした。戦いに明け暮れていた戦国時代、たとえば落城するときには領主が腹を切って死ぬ代わりに、兵士は助けてくれという話があります。封建時代は家来が奉公するのは領主が守ってくれるからであり、守り切れなかった領主は契約違反をしたということで、責任を取ったともいえます。この方がはるかに、正気だったと感じます。そして「背水の陣」「死兵(死を覚悟した兵士)は強い」という時代錯誤の精神主義が、命の使い捨てを加速していたのではないかと推測します。
ベトナム戦争の米軍兵士は、降伏が許されていました。休日もあって、前線から戻ってつかの間の安らぎを得ることもできました。トラウマ障害(当時は戦争神経症)を負えば、帰国も許されたでしょう。それでも復員兵の社会復帰が難しく、中には反社会的な行動に走ったり犯罪を犯す人も多いことで、大きな社会問題になりました。トラウマの研究は、ベトナム戦争をきっかけに進んだともいえます。
戦闘だけでなく、上官による暴力や飢餓、シベリア抑留など、はるかに過酷な状況に置かれた日本の復員兵のトラウマがこれまで表に出てこなかったのは、当時の日本軍や政府によって隠ぺいされてきたことが、番組で報道されていました。出演していた精神科医の目黒克己さんは、日本人の精神障害への偏見や、精神医学界による「見て見ぬふり」の励行が、今日までの社会による否認につながったと指摘されていました。
この問題への厚労省の対応は、「事実関係との確認が困難」というものでした。いま訴えている人たちの苦しみは真実であって、事実との因果関係を詮議するものではないと考えます。こういう話になると必ず「どうせ補償金目当てだろう」とか、「戦争のせいにしている」とか、そういうことを言い出す人がいます。それは、セカンドレイプ以外の何物でもありません。もし身近に「子どもの頃に、復員してきた父親から虐待を受けた」という方がいらっしゃったら、そのまま受けとめていただければと思います。
2025年08月29日
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