2009年03月11日

精神科と心療内科

 「精神科と心療内科って、どこが違うんですか?」と質問されることが、よくあります。ほんらい精神科は精神疾患を、心療内科は心身症を治療する所です。心身症とは身体に症状が出るけれども、その発症と症状の経過に、心理的な要因が濃厚な病態を言います。代表的なものだけ挙げていってもキリがないほどですが、高血圧、気管支ぜんそく、胃潰瘍、頭痛、肩こり、腰痛、糖尿病、慢性じんましんなどなど、本当に沢山の病気が心身症の可能性があります。これらの病気にかかった全員が心身症と言うわけではなくて、Aさんの胃潰瘍は心身症だけど、Bさんの胃潰瘍は心身症ではなさそうだ、と言うことが起こりえます。
 さて今はあちこちに「心療内科」のクリニックができていますが、心療内科の医局を経て開業していらっしゃる先生は少ないと思います。実際には精神科の先生なんだけど、「精神科」と看板に書いてしまうと患者さんが来にくいだろうと、そういう配慮のようです。
 さて冒頭に書いた質問には、「心療内科の多くは実際には精神科ですが、中には本来の心療内科もあって、そこでは心身症の治療を行っています」とお答えするのが良いようです。医師が一人のクリニックで「心療内科、精神科」と両方書いてあれば、まず間違いなく精神科と思って良いでしょう。このような現象の背後には、精神疾患への偏見があることは間違いありません。なくなって欲しい現象の一つです。
posted by nori at 21:54| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス
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