2009年03月21日

ぼくの好きな先生 (2)

 それこそ「たばこを吸いながら」だったし、先生はカウンセリングをしてくれるつもりではなかったのでしょう。でも、これが私にとってのカウンセリングの原体験だったように思います。そして、進路についてこんなやり取りがありました。

私:親は教員になって欲しいと思っているようだけど、自分は教えるよりも、話を聴くようなことを仕事にしたいんです

先生:へえ、それで大学はどうする?
 
私:できたら、心理学を勉強したくて

先生:ほう、それでお前は、カウンセラー的なものになっていくんだ

 技法的には「なりたいのか?」でも「なるつもりなんだ」でもなく、おしまいに「よく考えろ」がくっつくのでもなく、「なっていくんだ」と力強く終止形で閉じられているのがミソですね。暗示にかかりそうです。ひょっとして、もしかしたら先生はミルトン・エリクソンをひそかに研究していて、私を催眠にかけたのでしょうか。
 
 さて「カウンセラー」などと言っても、昔々の田舎の高校生のことですから、雲をつかむような話でした。でも、何かカギをひとつ見つけた手応えがありました。このカギはその後、行方知らずになります。大学は心理学科に入ったものの、カウンセラーのカの字も出てこない実験心理学しか教わりませんでした。卒業してからは、これまたカウンセリングとは無縁の会社で働きました。でもめぐりめぐって、またあの頃のカギを拾うことになったのは、われながら不思議です。
posted by nori at 19:53| Comment(0) | TrackBack(0) | カウンセリング
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/27756690
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック