2009年03月30日

石の上にも十三年

 私がこの仕事に就いたのは、人生の偶然のようなものです。あまりに私ごとになってしまうので細かいことまでは書きませんが、大卒後に東京でサラリーマン生活を1年半ほどしてから、郷里の精神病院で働き始めました。

 当時は今のように「臨床心理士」なる資格があるわけでもなく、メンタルヘルスへの関心もそれほど高くはなかったので、「人気商売に就いた」などと言う感覚は微塵もありませんでした。むしろ、裏街道に転じたような感じでした。ただ自分には営業で物を売り込むような仕事よりは、人を手助けするような仕事の方が向いているのではないか、と言う感覚はありました。実際に仕事ができるのかどうかは見当もつかなかったので、まず27歳までやってみてダメだったら違う職に就こうと思っていました。「石の上にも三年」そのままですね。結局その病院には3年プラス10年の、13年を勤めることになりました。

 私の職場は病院としては色々思うところはあったのですが、精神科と言うところは性に合っていたのだと思います。精神科を離れてから数年して、帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい 精神科医でもある小説家)の「閉鎖病棟」を読んだときには、なつかしい気持でいっぱいになりました。精神病院は私にとって石ではなくて、空飛ぶじゅうたんだったのかもしれません。
posted by nori at 19:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨床心理士
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