2009年04月05日

心理学検定

 検定ばやりは知っていましたが、心理学検定なるものが昨年から実施されているとは知りませんでした。

1、受検は、誰でもできます。心理学部や心理学科の所属や卒業に関係なく、希望するすべての人が受検できます。

2、試験は、心理学の10領域(A領域5、B領域5)について行われ、A領域4領域を含む6領域に合格すると「心理学検定1級」が、A領域2領域を含む3領域に合格すると「心理学検定2級」が取得できます。

A領域:原理・研究法・歴史 / 学習・認知・知覚 / 発達・教育 / 社会・感情・性格 / 臨床・障害

B領域:神経・生理 / 統計・測定・評価 / 産業・組織 / 健康・福祉 / 犯罪・非行

3、問題はすべて5肢選択問題で、各領域から20問が出題されます。合計、200問からなります。

 これが「心理学の実力」を示すことになるのだとか。専門とする分野について先行研究を調査し、研究をデザインして、統制された実験を行い、客観的な分析を行う、と言う方法論を身につけていることが「心理学の実力」の第一歩であって、大学はその訓練のためにあると思っていました。幅広い分野のひとつまみ知識を寄せ集めても、研究も実践もできないのは明らかです。何年か続けていれば、攻略本を丸暗記して合格する中学生も出るでしょうが、どうするんでしょうね。

 何より心理学の大学教育の自己否定につながることを、なぜ大学の先生たちが始めたのか、まったくもって不思議です。こんなことをしている暇があるのだったら、査読のつく研究誌に投稿するのを、義務化した方が良くはないですか? 出題者はもちろん、1級の「実力」を備えた先生方なんでしょうね。「実力」を測ると言いながら、心理学科を卒業すればだれでももらえる「認定心理士」で試験を減免されるのも矛盾していますね……と、嫌味たらたら言いたくもなります。

 なんと、主催している日本心理学諸学会連合には、私が加入している学会も三つ名を連ねています。学会誌を隅々まで読んでいなかったとは言え、全く知りませんでした。それぞれの学会に所属している会員には、周知されていたのでしょうか。なんだか知らないうちに片棒を担いでいたようで、片棒の1万分の1くらいかもしれないけど、腹立たしい思いです。
posted by nori at 13:50| Comment(0) | TrackBack(0) | よしなしごと
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