メンタルヘルス活動で関わった管理職の方が、ぼやきます。昔は会社帰りにみんなで飲みに行って、仲間内の誤解を解いたり、叱りつけた部下のフォローもできたのに、今はそんなこともできなくなった...と。「飲みにケーション」がストレスの発散だけではなく、組織運営にも一役買っていたのは、昔の話になりつつつあります。もっともその「飲みにケーション」だって、色々と弊害もあったのでしょうから、今を嘆くこともないでしょうが……。
日本は農耕社会で、となり近所とのつきあいが何よりも大事でした。水などの資源を分け合って使わなくてはならないし、いざと言うときには協力しないと、必要な作業が何一つできないのですから、当たり前のことです。だから何もなくても、より集まって親睦を深めようとします。これがそのまま持ち込まれたのが、サラリーマン社会だったように思います。
私自身、会社員生活を送ったことがあります。社長自ら「家族的な会社」と言っていましたが、なんとお誕生日会までありました。社員食堂でむっつりとケーキを食べて、記念品をいただいて帰ると言う恐ろしい集まりでした。コストをかけるからには、会社としても何かしらの効果を狙っているわけで、ふだん話をすることもない社員同士のコミュニケーションを図っていたのでしょう。
ところが会社も人海戦術に頼るよりは、個人の能力に賭けるご時勢を迎えているようです。たとえばゲームの開発だったら、大ヒットが一発出るのが重要で、平凡な作品が100本できても利益に結びつかないでしょう。社員同士が競争してくれた方が、良いわけです。
社員の側から見ても、定年を迎えるまで会社が公私の両面をがっちり守ってくれるわけではなくなりました。勤務時間を過ぎたら、会社の人とつきあうよりは、プライベートの時間を大切にしたいと考えるようになっても、無理はありません。
「飲みにケーション」に頼らずに、勤務時間の中で部下を教育、管理して、質の高いコミュニケーションを図ることが、管理職に求められています。そしてこれは我田引水ですが、カウンセラーがそのお役に立てる可能性は大きいのです。
2009年04月17日
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