発表者が「教えてもらう」ような事例検討会は、サド・マゾヒスティックな関係を作りやすいように思います。同業の先輩や偉い先生から、痛いところを突かれたり、自分の理解の不足を思い知らされる。少なくとも私が若い頃には、誰もがそういう修羅場をくぐって成長していくものだ、という雰囲気があったように思います。自分もそうやって鍛えられてきたのだから、後輩も同じように鍛えてやらねば……と、姑の嫁いびりみたいなものかもしれません。
コメントがサディスティックになるのは、下手な治療の報告を聞くとクライエントに同一化してしまって、クライエントのことが気の毒になってくるからでしょう。偉い先生が発表者をちくちく刺すのを聞きながら、「この人はクライエントに共感しろと言いながら、何で目の前の発表者に共感できないんだろう」と疑問に思ってしまったこともあります。
そう言えば若い頃に参加していた定例の検討会では、発表者でなくても怖い思いをしていました。黙っていると怒られる、発言してもこれまた怒られると言う、ダブル・バインド状況でした。よく辛抱して通っていたと思うのですが、当時はそれほど苦痛に感じていなかったので、いくらかはマゾヒスティックになっていたのでしょう。
こんな嫁いびりのような事例検討は、過去のものになっているように思います。今や立派な?姑世代に属している私ですが、あれで鍛えられたとは思えても、全面的に良かったとは思えません。まして若い人たちを、ああいうやり方で鍛えてやろうとも思いません。
2009年06月07日
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