今日はNPO法人「いわて子育てネット」に招いていただいて、「子どもの心とお母さんの心」と題した講演をしました。私には乳幼児期の臨床経験がほとんどないので、どこまでつとまるかなと思いつつ、ウィニコットの発達理論を中心にお話ししました。同業の方には言わずもがなですが、ウィニコットは英国の小児科医であり、精神分析家であった人です。「1896年生まれ」をネットで検索してみたら、宮沢賢治と同い年だったのですね。
子育てに必要なのは技術や知識ではなく、子どもの欲求に応えることに徐々に失敗していく「ほど良いお母さん」であること。子どもに攻撃性を向けられても、報復しないで「お母さん」として生き残ることで、子どもが安心して対象を使えるようになること。健康な子どもは、現実と空想の中間領域で遊べること。……などなど、ウィニコットは子どもの自発性を侵害しない、ありきたりの子育てが情緒の発達を促すことを説いています。そしてその母親もまた、周囲からの環境に支えられることで、初めて「ほど良いお母さん」として機能できるだと思います。
後半は受講したお母さんたちと話し合いをしたのですが、「子どもが迷惑をかけるからと思って、平日で空いているフードコートで食事をしていたのに、うるさいって怒鳴られた」とか、「バスに乗って子どもが泣いていると、迷惑がられる」といった体験談が出ました。子どもは泣いたり騒いだりするものだし、それをとやかく言うのはどうかと思うのですが、世の中はそうは思わない人もいるようです。子どもは希望です。お母さんだけに任せないで、地域で大切に育んでいくことができたら、少子化の傾向も少しは変わっていくかもしれません。
2009年07月28日
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