2009年11月13日

なぜ目指すのか?

 臨床心理士を目指す人が沢山いて、指定大学院はどこも盛況のようです。「1万人になった」と聞いてびっくりしていたのもつかの間、今や2万人を超える人たちが資格を取得しています。以前から非常勤の職場が多く、公務員を除けば経済的にはつらい仕事でした。私自身は偶然にこの仕事に就いたようなものなので、こんな仕事(!)にどうして大勢の人が魅力を感じるのか、不思議な思いすら持っていました。

 お金になる仕事をしたいとか、安定した職業に就きたいと思うのは、健康的だと思うのです。経済的な見返りがない仕事に就こうとするのは、何を見返りに求めているのか、臨床心理士を目指している人にはよく考えて欲しいと思います。もし「お金になる仕事」と思っているのなら、それは情報不足か勘違いなので、方向転換をお勧めします。アメリカでは博士号まで取って、経済的な理由で株の仲買人に転じるような人も珍しくはないそうです。

 さて、よくよく考えてみると。本当は自分が世話をして欲しいのだけれど、他人の世話をすることで代償的な満足を得ようとしていた、と言う人がいるかもしれません。身内が病気や障碍をもっていて、それを何とかしたいと思ってきた、と言う人もいるかもしれません。こういう動機も否定されるべきではないと思うし、実際に対人援助の仕事に就く人には、多いのだと思います。ただそれを認識できないでいると、自己満足のために他人を利用し続けることになります。

 「血ヘドを吐くまでやれ」などとのたまう偉い先生がいらっしゃいましたが、ろくに良いこともないのに命がけになるのは、ある種の病気です。 
posted by nori at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨床心理士
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