2010年01月06日

投影法と質問紙法

 ロールシャッハ法のようにあいまいな刺激に反応させる心理テストは、投影法(Projective Test)と呼ばれています。他にTATやSCT(文章完成法)、描画テスト(バウム・テスト、風景構成法etc.)などがあります。これに対して具体的な質問への回答を、標準化されたデータをもとに解釈するのが質問紙法です。代表的なものにMMPI(ミネソタ多面人格目録)、Y−G性格検査、TEG (東大式エゴグラム)などがあります。

 まず投影法と、精神分析で言う投影は区別しておく必要があります。投影とは自分で抱えておくことができない無意識的な感情や葛藤を、他者が持っていることにしてしまう防衛です。本当は自分が怒っているのに、その怒りが外側に体験されて、「怖い目でにらまれる」と言うのは投影の働きです。ロールシャッハ法でこの投影が見られることもありますが、それを調べるためのテストではありませんし、そもそも投影と言う精神分析の概念を用いないテスターもいます。 

 さて投影法は質問紙法よりも、無意識的な情緒や葛藤を明らかにする、とされてきました。その根拠は、精神分析の理論によっています。「乳幼児は言葉が発達していないので、視覚的なイメージで蓄積された体験が無意識化している」と言うことです。これに対して言葉のやり取りである質問紙法は、防衛機制の発達とともに獲得した言葉で加工さたものしか出てこない、と言うわけです。これは少々強引な理屈に見えますし、ことさらに「ロールシャッハで無意識を明らかにする」みたいな構えは、ない方が良いだろうと考えています。

 ただMMPIは別として、ほとんどの質問紙法が被験者の判断力や、作為のない受検態度を前提にしているのに対して、投影法にはそのような前提が不要です。被験者の判断力・表現力の欠損や検査状況の理解度、作為などが見えてくるので、たとえば精神疾患の患者さんにも適用できるのです(それもテスターの主観的な判断に頼っている、と言われてしまえばそれまでですが……)。
posted by nori at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理アセスメント
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