スクールカウンセラーをしていると、
「うちの子は学校に行かないだけで、あとは普通なんです。テレビみてゲラゲラ笑ってるし、おやつも食べるし、ゲームもするし。でも学校について話そうとすると嫌な顔をしたり、自分の部屋に逃げ込んでしまったり。これではちっとも話ができません」
と言ったお話を、保護者の方から聞くことが多いです。親にしてみたら、肝心な話がちっともできないし、いったいうちの子は何を考えているんだろう、と言うことになるようです。
私は、こんな風にお話することが多いです。
「不登校は、学校に行けるようにしてあげることよりも、こじらせないことの方が大事です。学校を休むのが長くなってくると、お子さんとの間で普通の会話が減っていって、親ごさんは学校や進路についてばかり言葉をかけるようになります。でもたいがいは、お子さんも学校に行かなくてはいけないと思っていながら、どうしても行けないのです。だんだんに言葉をかけられても、無視をしたり、反発したりして、さらにこじれると部屋にひきこもったり、昼夜逆転の生活になっていったりします」
「だから普通の会話を大切にしてください。テレビ見てこれ面白いねとか、ご飯食べたらこのおかずはどうやって作ったとか、近所でこんなことがあったとか。そういった、どうでも良いような話です。学校のことは、お子さんの方から言い出した時には、相談にのってあげてください」
もし子どもが骨折して学校を休んでいるのなら、家族との関係が悪くなることはないでしょう。でもいわゆる不登校では、子どもと親のコミュニケーションが成り立たなくなっていくことが多いのです。骨折は「学校に行きたいけど、行けない」が目に見えますが、不登校はそういうわけにいきません。親は「学校に行きたいって言ってるけど、それはポーズであって、実はナマケなんじゃないか」とか、「学校に行くことがいかに大切か、分っていないんじゃないか」と考えてしまうこともあります。子どもがテレビを見て、ゲームをして、不登校ライフをエンジョイしているように見えてしまうと、穏やかではいられなくなってきます。
学校を休んでいる子どもにとっては、家族に安心して話ができることが、一番の支えになっていくように思います。学校の話を親から持ち出すのは、プレッシャーになることが多いものです。親が言わなくても、学校のことは毎日考えているはずです。考えてしまうから、辛くなるから、ゲームやお笑い番組に熱中するのかもしれません。
2010年03月24日
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