2010年05月30日

姿勢のふしぎ

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臨床心理士の間でも、臨床動作法について誤解をしている人は少なくありません。「特殊な動かし方をすると脳が活性化される」とか、「催眠の一種」とか、果ては「スキンシップ」だとか……。まだ歴史が浅いこと、起源が肢体不自由児の訓練であったこと、言葉を媒介にしないこと、はたまた援助のためにクライエントに手を当てることなど、色モノ扱いされる要素が多いのかもしれません。

心理学やカウンセリングを志すのは、学校の教科で言えば国語が好きで数学は苦手、そして体育の嫌いな人が多い……は私の偏見でしょうか。「理解」や「自由」が「人間的」で価値があって、「訓練」や「課題」は「非人間的」であるから嫌い、と考えがちのように思います。私も若い頃は、そんな考えを持っていましたが、結局は役に立つかどうかだと思います。

本書は創始者である成瀬悟策先生が、動作訓練の始まりから臨床動作法への発展の過程を主軸に据えて執筆されています。入手しやすい新書なので、臨床動作法の考え方を理解したい方には恰好の入門書と言えます。
(姿勢のふしぎ 成瀬悟策著 講談社ブルーバックス)
posted by nori at 20:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨床心理学の本棚
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