2010年11月23日

岡部俊一先生を偲ぶ

 私は1997年の4月から2002年の3月まで、岩手県の石鳥谷町にあった「医療法人中庸会 星の丘クリニック」に勤務していました。皮膚科のクリニックで常勤で働いている臨床心理士は、おそらくは全国でも私ひとりだったと思います。院長の岡部俊一先生は皮膚科医で、漢方に精通していらっしゃいました。またご自分でも臨床心理士の資格を取られるほど、臨床心理学的なアプローチにも関心を持っておられました。

 岡部先生は秋田県の病院に勤務されていましたが、アトピー性皮膚炎の患者さんたちが人目を気にして入浴しているのを見て、専門的な治療施設を作ろうと思い立ったとのことでした。クリニックには入院施設があって、温泉がひかれていました。肌がつるつるになる、とろんとしたお湯でした。患者さんたちは漢方の煎じ薬を飲み、野菜中心の玄米食を食べて、運動療法もしていました。治療には心理療法も積極的に取り入れられていたので、私も非常に忙しい日々を過ごしていました。

 「心療内科」になぞらえて言えば、星の丘クリニックは「心療皮膚科」でした。日本では何十年も早過ぎた試みだったと思いますし、理想ではあっても実践するとなると現実の壁が立ちはだかりました。私は東京大学に心療内科を創設された石川中(いしかわ ひとし)教授のお仕事を、少しだけお手伝いしていた時期がありました。石川先生もやはり早世されていて、先覚者のご苦労を思います。

 岡部俊一先生の命日は、11月23日です。祝日ということもあってほぼ毎年、お墓参りに行くことができています。今日も墓前で花を手向けてきました。もう亡くなってから9年も経つとは、本当に月日の経つのは速いものだと思います。先生の遺徳を偲びつつ、星の丘クリニックでの思い出なども少しずつ書いていきたいと思います。
posted by nori at 21:25| Comment(7) | TrackBack(0) | 心療皮膚科
この記事へのコメント
はじめて、ブログを訪問しました。
高校生のころ、親と一緒に車で6時間かけて、秋田へ行き、岡部先生に、診ていただいて、その後、星の丘クリニックへも通い、アトピーを治していただきました。
そのことから、ニ、三年前、友人の妹さんが、アトピーで悩んでいると知り、星の丘クリニックという病院で岡部先生というお医者さんが、治してくれたから、行くといいよ、と紹介しました。
 その友人から、岡部先生はもう亡くなられていたと聞いて、たいへん驚きました。
 私のアトピーを治してくださった名医でいらっしゃいました。いまでも、体が弱く、漢方薬のお世話になっていますが、岡部先生がいらっしゃったらなあ、と思うことがあります。
Posted by まるこ at 2011年01月28日 16:41
まるこさん、コメントありがとうございます。岡部先生が亡くなった時には、本当に沢山の方がショックを受けました。私は今でも、とても残念に思っています。これからもっとお元気になられるよう、お祈りしております。
Posted by nori at 2011年01月28日 23:10
はじめまして。実家が岩手にあって、星の丘クリニックに通っていた者です。
上京後もお薬を取り寄せたりしていましたが、落ち着いてきたから少しやめてみていた時期に先生が亡くなられていたみたいで…翌年、再び伺おうを思ったときに知ってショックでした。
引越しするたびに、ぼちぼち新しい漢方医を探さなくては…と思いつつも、なかなかうまくいかず、そうこうしているうちに、また顔に湿疹が出るようになってしまいました…。で、とりあえず通ってみている漢方医の方にかつて処方されていた薬を尋ねられたのですが、はっきりと答えることができません。記憶にある軟膏名を検索してもヒットしないし…でも、私もあのお薬を気にいっていたので、また出会いたいと思っています。どうにか分かる方法はご存知ないでしょうか?自分のカルテのことなど…もっと早くにどこかに問い合わせればよかったなぁ〜とかなり後悔しています。いきなりなのに、長々と&質問までして申し訳ありません。
Posted by TOT at 2011年05月22日 11:19
TOTさん、お便りありがとうございます。星の丘クリニックは岡部先生が亡くなられてから、内科のクリニックになり、さらには廃業する形になりました。建物は残っていますが、健康施設として利用されています。残念ですが、カルテは廃棄されているものと思います。薬局も閉鎖しているので、そちらに聞くこともできません。「どうにか分かる方法」は、おそらくないものと思います。こんなお返事しかできなくて、申し訳ありません。
Posted by nori at 2011年05月28日 20:43
ふと星の丘クリニックと検索してここにたどり着きました。もう20年近く前になるんでしょうか。第一期生で星の丘クリニックに入院しました。岡部先生が亡くなられて、数年後に奥様にお会いに行きましたが、いまでもその時のこと、入院時のことを鮮明に覚えています。
岡部先生に生かしてもらった体を、大事にしなければと思いました。
同時にいまでも岡部先生にまた会いたいなどと考えてしまいます。
Posted by 榊原 at 2016年02月24日 01:43
榊原さま

なぜかコメント欄に表示されなくて、気が付きませんでした。申し訳ありません。私は毎年、祥月命日には墓参をして、一年の報告をしています。岡部先生の、前向きな精神を受け継いでいきたいものだと思います。どうぞお元気でお過ごしください。
Posted by nori at 2016年03月21日 23:34
電車で酷いアトピーの症状の方をお見かけし、岡部先生の病院の事を思い出して検索していてお邪魔いたしました。
私は完治してからもう15年位は経ちます。岡部先生には大変お世話になりました。
ずっと埼玉在住ですが、出来るだけ診せに来るように言われて半年おきに岩手まで遠出して診て頂きました。遠かったですが、旅の楽しさと、先生に診て頂ける嬉しさで、通院の日を待ちわびていました。
漢方薬は、この世の物とは思えないほどまずかった(土を飲んでいる感じ。失礼!)ですが、良薬だと信じて続けました。
カロリーや糖分の取り過ぎはダメで、コーラ何て毒だとまで仰られていた事を思い出します。
ステロイドは悪だという風評がありましたが、先生は「使い方の問題」だと仰って、「強めのステロイドの軟膏」と「保湿の軟膏」を処方され、適宜塗って良いのは保湿の軟膏だけで、ステロイドの軟膏は3日に1度だけ酷い場所に塗る事を守る様に仰っていました。
お陰さまで、今はコーラを飲んでも全くぶり返さない程健康になっています。
まさに、日本の名医、宝だったと思います。
Posted by HK at 2018年11月06日 13:05
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/41829563
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック