私は4月から、被災地の支援に出向いています。もちろん本業があるので、そう頻繁には行くことができませんが、空き時間のかなりの部分を支援に割いている感じです。岩手県の沿岸地域はこれから本格的な冬を迎えるわけですが、とくに高齢者は外に出るのもおっくうになる季節です。屋外が凍結するので、転ぶのが怖い。実際に転んでから寝たきりになってしまう方もいらっしゃるので、「転ぶのが怖いから」と外出を控えたくなる気持も分かります。生活物資を調達できるのか、ますます孤独に陥らないのかと、心配になります。
さて仮設住宅に出向いて感じるのは、皆さん日々をやり過ごすのに精一杯で、他人のことや将来のことに目を向けるゆとりがないと言うことです。私が関わっている仮設は大規模(およそ400戸)ですが、自治会や子ども会がまだありません。バラバラの地域から集まってきたわけではなくて、同じ地域の顔見知りが集まっているのに、です。
今まで心理面の支援は、リスクを抱えている人に個別に対応することが中心でした。これからはコミュニティをどう活性化するかが、焦点になると思います。地域のつながり、支え合いがないところでは、弱い人たちにそのしわ寄せが行きます。子どもたちのいじめ、高齢者の孤独死や自殺などが懸念されます。地域の人たちが、家族のように自分のことを気にかけてくれている。困っている人を見つけたら、手をさしのべる。そういう地域に住んでいる人たちは、幸せです。
もともと私たち臨床心理士は、個人を対象にした援助が中心で、集団や地域を対象にしている人は少ないです。「慣れないことをする」ことになるし、やりながらノウハウを蓄えていくということでもあります。でも今必要なことを、やっていきましょう。
2011年12月12日
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