2011年12月23日

幇間稽古

池波正太郎の時代小説に、「剣客商売」があります。文庫本で16巻。私はたまたま図書館の軒下のリサイクルコーナーで見つけて、どっさり持ち帰ることができました。その中に「幇間稽古」という言葉がでてきました。ちなみに幇間(ほうかん)とは「たいこもち」で、宴会などを盛り上げる男性の芸人です。芸者さんと違って美貌や色気を売り物にできないし、人と人の間を取り持つのも芸のうちなので、これまた難しい商売のようです。

さて幇間稽古とは、道場主が門人を集めるためにほめそやす稽古のことを言っています。「そんな稽古では伸びしろがあっても、そこで止まってしまう」とか。まあできないものを「できている」と言う方も言う方だし、そう言われて「できている」と思ってしまう方もしまう方なのですが、ともかくそんな稽古では害の方が大きいわけです。それと同じような現象は、私たちの業界でもあり得ると思います。

もちろん、やたらに厳しくすれば良い、というものでもありません。事例検討で頭ごなしに怒られて泣かされるとか、寄ってたかってイジメのような様相を呈するとか、そういうのもどうかと思います。名の通った先生でも、「この人はクライエントに共感しろと言っているけど、どうして目の前の発表者に共感できないんだろう」と首をひねってしまうようなこともあります。幇間稽古にしても、サド・マゾヒスティックな関係を作ってしまうことにしても、どちらも自己愛の落とし穴にはまっているのは同じで、いわばコインの裏表のようなものだと思います。

対等の関係を作って、その中で一緒に考えてゆけること。課題を見つけたら、指摘すること。良い所を見つけて、伸ばすこと。恐ろしいもので、年齢を重ねると人の指導をすることも出てくるのですが、自分はそうなりたいと思っています。
posted by nori at 14:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨床心理士
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