病院やクリニックで働いている臨床心理士には、白衣が支給されることがあります。自分の意志とは関係なく、ユニフォームとしての着用を求められる職場もあることでしょう。白衣にネームプレートを着けるのが、一般的だと思います。
もともと白衣は、医師が処置をする時に衣服が汚れないようにするための、作業着的な意味があったのでしょう。医師とは白衣を着るものというイメージが定着すると、処置をするかどうかに関わらず、ユニフォームとしての意味をもつようになったのだと思います。もちろん臨床心理士は医師ではありませんが、他の医療スタッフがみな白衣を着ていると、自分だけ私服でというわけにはいかなくなったりもします。
白衣を着れば患者さんにはいかにも専門家らしくというか、「知識や技術を備えていて、頼ることができる」人に見えることでしょう。それは安心感にもつながりますが、依存やサド・マゾヒスティックな関係にもつながります。医師でも白衣を着ない人がいますが、それなりの考えがあってのことだと思います。
私自身が精神科の病院で働いていた時には、白衣の着用を求められていました。どんな身なりでも上から白衣をかぶってしまえばそれらしく見えるという実用性?はありがたかったのですが、「治療者」と「患者」の関係性を強調する感じで、好きではありませんでした。しかしまあユニフォームではあったので、病棟に入ったり外来の仕事をする時には白衣を着て、デイケアに行くときには脱ぐようにしていました。
ずいぶん昔に神田橋條治先生から聞いたお話ですが、「経験の浅い治療者は白衣を着ないでいると、権威主義的な態度をとる」という研究があるそうです。それはそうだと思います。白衣に助けられてリラックスできるのであれば、その方が患者さんにもメリットがあると言えるかもしれません。
2012年06月26日
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