2012年08月30日

病気喧伝

真偽のほどは定かではありませんが、ここ10年間で向精神薬の売り上げが10倍になったという書き込みがネットにありました。どんどん薬価の高い新薬に切り替えられているでしょうから、処方数が10倍とは考えられませんが、精神科クリニックがどんどんできてそれも満杯状態であることを考えると、激増しているのは容易に推測できます。

発達障害の診断で、薬を服用している子どもたちも確実に激増しています。これまた真偽のほどは定かではないけど、なんと三歳児に抗精神病薬(メジャー・トランキライザー)を処方する医師もいるとか。本当に薬を必要としている人が処方されることは結構ですが、製薬会社が利益のために病気を広げているとしたら、これはもう薬害です。MRSAと同じことが起きている可能性があります。

SSRIの登場でうつ病の治療成績が飛躍的に向上するという話だったはず……ですが、実際にはどうなんでしょうか。いつまでも薬と縁が切れない人が、増えていると感じます。以下のような文章を、ネットで拾ってきました。

先月開催された日本最大の精神医学会の「精神神経学会 第107回総会」でも、次のような発表がありました。参考にしてください。

蜀協医科大学 越谷病院 こころの診療科 井原 裕

『双極性障害と病気喧伝(disease mongering)』

『双極性障害がいきなり脚光を浴び始めたといっても、別に日本人が突然、躁うつの気分変動を呈し始めたわけではない。背景には、精神科医と製薬資本による「病気喧伝」(disease mongering) がある。製薬会社のマーケティング戦略に精神科医たちがいとも簡単に踊らされてしまう点こそが、事態の本質なのである。

病気喧伝とは、生理的な範囲の身体の不調を指して、「病気だ、病気だ」と騒ぎ立てて、やれ「医者にかかれ」だの「治療しないとまずい」だのとかまびすしく説いてまわることをいう。製薬会社は医薬品の潜在的需要が、病気と健康の中間領域にあることを熟知している。そのため、巨大市場を求めて逆流性食道炎、過活動膀胱、脱毛症、勃起障害などの境界領域を狙い、研究開発費を上回る巨大な予算を広報活動に注入する。販売促進のための疾患啓発キャンペーンは、度が過ぎれば病気喧伝と紙一重となり、こうして疾患イメージは増幅され、医者たちは無邪気にも踊り始める。この状況を見れば、こころある市民が「製薬会社と医者が結託して病気を作って一儲けしようとしている」と思ったとしても何ら不思議はない。

構神科医は、これまで病気喧伝の扇動に従順であった。気分障害患者数が見かけの増加を始めたのは1999年。それは、冨高(2009)も指摘するように、SSRIの本邦登場と一致する。製薬会社の疾患啓発にそそのかされた精神科医たちがよく考えもしないでSSRIを処方し、それに伴って保険病名「うつ病」を乱発したからであろう。そのほかにも、「注意欠陥多動性障害」(methylphenidate)、「社会不安障害」(SSRI)など、精神科医が情報操作にまんまと乗せられた例は枚挙にいとまがない。今後、病気喧伝の対象は双極性障害に移る。精神科医の多くが薬物療法以外の治療手段を考えられない現状は、危検である。私どもは歴史から教訓を得なけれぱならない。』

posted by nori at 19:41| Comment(2) | TrackBack(0) | メンタルヘルス
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