
買ってから積ん読状態だったのは、トルストイの「アンナカレーニナ」を題材にしているので、そちらを読んでからにして欲しいとあったからです。実際には関連した部分についてあらすじも記されているので、長大なアンナカレーニナは読まなくても理解できると思います。
著者の言う「ライフ・ギバー」はウィニコットの移行対象とどう違うのか、著者のナルシシズムの理解とフェアバーンのスキゾイドとの関係など、もっと丁寧に書いてくれたら良いのにと思う部分もありました。自己愛の病理について、臨床経験に基づいた深い洞察が散りばめられています。
(臨床におけるナルシシズム ―新たな理論 ネヴィル・シミントン 成田善弘監訳 北村婦美・北村隆人訳 創元社)