2012年12月24日

オリジナル盤の魔力

先日、一関のベイシーにおじゃましました。ベイシーと言えば「日本一音の良いジャズ喫茶」として、つとに有名なお店です。建物は土蔵作りで壁が不要な振動をしない上に、空気の容積がたっぷりあります。そこで菅原マスターが心血を注いで調整を重ねたオーディオ装置が、すさまじい音を浴びせてくれます。うちのオーディオが傘をさせばぬれないで歩けるくらいの雨だとしたら、ベイシーの雨は情け容赦なくずぶ濡れになるようなスコールです。

これはわが家でボリュームを上げたところで、ダメなんです。さっき計算してみたら、ウーハーの振動板の面積がわが家の13.8倍もあります。かりに同じスピードで走っても、原付バイクとナナハンでは全然違いますからね。ベイシーの音は、生演奏で聴けるような音ではありません。オーディオ的にバランスが取れている、優等生的な音でもないでしょう。でもマスターの耳に照らして、絶対に正解の音。「ベイシー音」としか言えないような世界が、そこにはあるのです。

さて、それはそれとして。オリジナル盤のレコードコンサートと言うことで、マニア垂涎のミント状態のLPを聴かせていただきました。たとえば、リバーサイドのケニー・ドリュー・トリオ。ドモコが遊んでるやつです。

kennydrew3.jpg

「え? こんなレコードだっけ?」

と言う声も聞こえましたが、うちで聴いている再発盤(ビクター)とはもう、次元が違うのです。再発盤が「さっさと演ってカネもらって、早く帰りてえよう」みたいなやる気なし演奏だとしたら、オリジナル盤は白眼むき出し汗だくだくの力演です。名盤と言われている割にはつまらないレコードだと思っていたのは、この差によるものだったのでしょうね。

このレコードは50年代の録音ですから、マスターテープは磁気の転写が進んで、再発盤を出した時にはもう相当にくたびれていたのかもしれません。まして今のCDとなると、いくらマスタリングでいじくっても、音の鮮度は取り戻せなません。マスタリングがどうの、CDの盤質がどうの、フォーマットがSACDかどうかなどは、すっかり赤黒くなったマグロをどう刺身にしようかというような話になってしまうのです。

あのオリジナル盤、いくらなんでしょうか? シミひとつないジャケットに、ノイズのない盤。見当がつきません。これまで「何万円もするオリジナル盤、そんなにイイのかな」と思ってきたのですが、のめりこむ人がいるのもわかりました。聴かなきゃ良かった……かも。
posted by nori at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 音の考現学
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