明日は4月1日、わがあゆみカウンセリングルームの開業記念(するほどのこともない?)日です。従業員に紅白饅頭を配るのも昔風で良いなあと思ったりもするのですが、あいにく従業員は私ひとりしかおりません。家族のために紅白饅頭をお菓子屋さんに注文するわけにも、いかないんでしょうね。でもこの時期になると、開業するまでに準備したことなど、思い起こしたりします。
病院やクリニックに勤めていたり、スクールカウンセラーで学校に出向くと、カウンセリングは与えらた部屋でするしかありません。自慢ではないけれど、あちこちで仕事をしてきたので色々な部屋を経験しました。狭かったり暗かったり、暑かったり寒かったり、雑音が入ったり、声が響き過ぎたりは、まだ普通の範囲であります。窓がなかったり、トイレ臭かったり、物置に使われたり、音楽室の隣だったり、頭上で校内放送が爆音で鳴ったり、相部屋で人の出入りがあったり……。思い返せば文句たらたらなのですが、それでも与えられた部屋で、できる限りの対応をしなくてはなりません。
だれかは忘れました(忘れたから書ける?)が、ある大学の先生が「紙と鉛筆さえあれば、カウンセリングはできる。何の元手も要らない商売だ」みたいなことを書いていましたが、この人は実際にやったことがなかったのでしょうね。「水泳は海パン一丁でできる、金のかからないスポーツだ」と言っているようなものです。プールはどうするの?ということです。
部屋の作りは、いわゆるアメニティにとどまらず、カウンセラーもしくはセラピストと、クライエントの双方が安心感を持てるかどうかにも関わってきます。クライエントが自分の内面をオープンにできるかどうかにも、影響を与えます。また自分で開業してみるとよく分かりますが、どのような部屋か、どのような家具が置かれて絵が飾られているか、そういったことは全てメッセージとしてクライエントに伝わります。
面接室の造作や調度は、雇われているうちはどうにもなりません。でも自分で開業するなら、自由になります。設計から家具の選択まで、それまでの20年近くの経験を活かして、理想的な面接室を作ったつもりです。思えばどんな部屋にするのか、あれこれ考えている時が一番楽しかったような気もするのですが、ちょっと思い出して書いてみます。
まず広さについて、です。
千利休が作った茶室は四畳半が標準で、二畳、あるいは三畳の茶室もあったそうです。狭い空間は逃げ場のない圧迫感を与えることもあり、親密さを育むこともあります。油断すれば殺される戦国時代ですが、狭い茶室に押し込められても己を保たなくてはなりません。二畳間で織田信長と向かい合ったら、たいていの人は蛇ににらまれた蛙になってしまうでしょうね。私は茶道の心得はありませんが、千利休はコミュニケーションの芸術家だったのではないかと思います。
話が横道に逸れました。狭いのは威圧感を与えますが、広すぎるのも落ち着かなくなります。三十畳もある部屋とか、天井の吹き抜けは好ましくないでしょうね。日本人の生活感覚からしたら、8畳から12畳くらいが、適しているのではないでしょうか。我田引水のようですが、あゆみカウンセリングルームの面接室は10畳くらいです。他の要素については、また次回に。
2013年03月31日
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