2013年06月18日

オーディオ黄金時代

 斜陽産業と言われて久しいオーディオですが、中高年の音楽好きには根強い人気があります。実際にオーディオショップに出入りしているのは、私を含めてオジサンばっかりです。私は女の人の方が耳が良いと思うのですが、女性を見かけることはまずありません。彼女たちは「こっちの方が音がいいわね。でも、何でそんなことにお金を使うの?」と、音へのこだわりがないのです。アンプやCDプレーヤーの高級機を作っているアキュフェーズはデザインが統一されていて、こっそり買い換えても奥方に悟られないのが人気の秘密だという話まであります。

 それはさておき。1970年代〜80年代のオーディオ黄金時代を知っている人は、嘆くことしきりです。たしかにサンスイやナカミチなどの専業メーカーは倒産し、大手家電メーカーもオーディオからは撤退して、マニア向けの高額商品、それも輸入品が多くなってしまいました。カネとヒマのある団塊の世代がいなくなれば、もう業界は終わるだろうと言う人までいます。買う人がいなくなれば、作る人や直す人もいなくなり、部品も手に入らなくなります。

 でも私はオーディオが本来あるべき姿である、趣味に戻ったような気もするのです。「黄金時代」には同じような3ウェイスピーカーが59,800円で何十機種も発売されたり、6畳間に業務用の大型スタジオモニタースピーカーを置く人もいたりで、趣味というよりは家具を買い揃えるような感覚でした。当時は「C/P」なる記号が幅を利かせていて、これはコスト・パフォーマンス、つまりは払ったカネに対して出てくるオトが高級だという意味です。カリスマ的な評論家の長岡鉄男さんが「ウルトラ・ハイ・コスト・パフォーマンス」などと書けば、みんながその製品にわっと飛びつくような雰囲気がありました。良い音を望んでいる人もいたのでしょうが、良いキカイを持つことに満足する人の方が多かったように思います。

 当時はオーディオの基本セットみたいなのがあって、アナログ・プレーヤー、チューナー、アンプ、スピーカー、それにデッキ(オープンリールからカセットに移行)で給料の2〜3ヶ月分くらいでしょうか。80年代になって、CDがアナログLPに取って代わるようになりました。でも今はもっと、自由な聴き方を楽しめるようになりました。大きな音を出せない人は、昔よりもグンと音が良くなったヘッドホンとヘッドホンアンプで、非常に質の高い音を楽しむことができます。USB入力のついたアンプ内蔵スピーカーなら、あとはパソコンがあればOKです。私はアナログLPやCDを再生する、昔風の聴き方をしていますが、それもまた良しです。真空管はまだ製造されているので、真空管アンプを買ったり作ったりできます。インターネットのおかげで、オークションで珍品を手に入れたり、ガレージメーカーの製品を買うこともできます。何より今の製品はおしなべて優秀で、昔よりも安く、良い音を手に入れることができます。それぞれが好きなように楽しめる今こそが、オーディオの黄金時代なのかもしれません。
posted by nori at 20:51| Comment(1) | TrackBack(0) | 音の考現学
この記事へのコメント
こんにちは。
PCオーディオが流行したことで、
逆にアナログレコードや真空管アンプ復権している気がします。
MUSICAでは2年前の人気No1.はUSB-DACでしたが、
今はフォノアンプです。
しかも多くの若い方がアナログにチャレンジしていただいており
とても楽しみです。
アナログレコードや真空管アンプは、その使い方にもノウハウがあり、
それを考えるのも楽しく『趣味』っぽいと感じます。
現在は当時の100万円を越えるような性能の機器が数万円で手に入ります。多くの方に『趣味・オーディオ』を楽しんでいただけたらと思います。
Posted by MUSICA技術部 at 2013年07月01日 09:28
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/69640421
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック