2014年01月09日

総合内科

先日、風邪の予防と治療についてのテレビ番組を見ていたら「総合内科」の医師が、出ていらっしゃいました。はて「総合内科」とは? 呼吸器内科とか消化器内科とか、専門を掲げている内科でなければ、みんな「総合内科」ということなのでしょうか?

かたや「心療内科」は一般的になってきた言葉ですが、あまり正しく理解されているようには見えません。精神科と同一視されているような印象があります。心療内科はアメリカにはない、と聞きます。アメリカはリエゾン精神医学で、これはたとえば内科医に精神科医がコンサルテーションを行なうなど、精神科医が他科と連携することを指します。

成田善弘先生によれば、心療内科には医学が高度に専門化して臓器別診療や疾患別診療になって、ひとを全体的に見ようとしなくなってきていることへの、アンチテーゼが含まれているそうです。たしかに内科も呼吸器内科、消化器内科……と細分化されてきています。私の印象でも検査所見や画像診断に頼って、患者の話を聞こうとしない、聴診をしない、患者の顔を見ずにパソコンを打つ……という医師が増えているように思います。

「的確に処方さえしてくれれば、話を聞かない方が良いんじゃないの? お互いに忙しいんだし、病院はどこも混んでいるんだから……」

というのも、一理はあると思います。でも丁寧に問診をして症状や病歴、ストレスについて聞いていけば、より的確な処方ができるということもあるでしょう。あるいは検査の数を減らして、医療費の削減になると思います。それに胃潰瘍は消化器内科にかかって、喘息は呼吸器内科にかかって、腰痛は整形外科にかかって、でもその人の全体を見てくれる医師はだれもいない……という状況は何とかしなくてはなりません。

総合内科はアメリカで始まったようですが、日本の心療内科と同じような方向性を持っていて、このような現状の打開を目指しているのかもしれません。医師のコミュニケーション能力のトレーニングに力を入れていて、また初診にはたっぷり時間をかけるようです。
posted by nori at 19:50| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス
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