
ジョン・アンダーソンはプログレシッブ・ロックバンド、イエスのヴォーカリストでした。イエスは60年代の末から活動していたので、集合離散をくり返して今に至っています(……のかなあ?)。大病をしたり、音楽的な志向性でモメたり、あるいはカネのトラブルなんかで色々あって、ベースのクリス・スクワイアからクビになったりまた呼ばれたりで、ずいぶん忙しかったようです。
YouTubeには、ジョンがで弾き語りするライブの模様がけっこう出ています。複雑なアレンジと鉄壁のテクニックで成立していたはずのイエスの世界が、ジャカジャカとかき鳴らすギターと透明高音ヴォイスでだけでも再現されてしまうのが、実に愉快です。キーボード奏者のヴァンゲリス(炎のランナーなどの映画音楽でも有名)との出会いを物まねをまじえて面白おかしく話したりして、気さくで楽しい人柄も伝わって来ます。
「プライヴェート・コレクション」はそのヴァンゲリスと作ったアルバムで、私はたまたま中古盤でLPを手に入れました。曲はヴァンゲリス、詞はジョンが書いています。ロックではないけど美しい曲ぞろいでジョンの歌唱も冴えていて、完成度は驚くほど高いです。ほっと、癒されます。一曲でテナーをデヴィッド・サンボーンに泣かせるサックスソロが入っていますが、Dick Morrisseyというイギリス人です。