2014年03月09日

休めば良いと言うものでもない

私は産業分野のメンタルヘルスにも、関わっています。「うつ」でダウンしたら診断書をもらって休職、というのが定番のコースですが、「何が何でも休職というものでもない」と思う経験をしました。

Aさんは職場で多忙が続いて、不眠になりました。趣味にも関心がなくなり、医師の診察を受けることに。「うつ」の診断が出て、休職を勧められたそうです。でも上司のBさんは「休むのは良いけど、休んでから出てくるのが大変になるんじゃないかな。同じ担当のままだったら、復帰するのも気が重くなるだろうし、復帰しても同じことになるかもしれない。だったら部署を変えて、勤めながら様子を見たらどうだろう」

Aさんは薬をのみながら、違う部署で働き続けました。そのうちに朝早く目覚めることもなくなり、趣味にも関心がもてるようになってきたそうです。「あのときに休職していたら、出てくるのが大変になっていたと思う。それに会社を休んだとしても、家族の手前や近所の目もあるし、気が休まらないと思う」と、Aさんは振り返っていました。発症前の業務が、Aさんにとって非常な負担になっていたようです。

このケースでうまく行ったのは、上司のBさんがAさんと職場のことをよく理解していたのが大きかったと思います。ちょっと話は飛躍しますが、いま先進国で企業への忠誠心がもっとも低いのがフランスで、その次が日本だとか。フランスでは上司が部下に話をするのは怒るときだけ、ということです。日本は中途半端な競争主義と使い捨て雇用が広まった結果、会社のために働くのがばかばかしくなっています。実はアメリカが生涯雇用などの日本式経営を取り入れたので、企業への忠誠心が高くなっているとか。

リストラやブラック、パワハラと、ヘンな横文字が企業の精神風土を象徴するような時代になりました。雇う側も雇われる側も、自分の利益ばかり考えているようでは、殺風景ですね。
posted by nori at 10:25| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス
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