2025年01月28日

トイレを替えました

カウンセリングルームのトイレも、年季が入って来ました。何しろ、22年間も活躍してくれました。水がチョロチョロと止まらないときもあったし、故障して修理してもあらったこともあります。そろそろ潮時かなと思い、トイレを交換してもらいました。前のは便座が温まるだけでしたが、こんどはウォッシュレットつきです。工事に来てくれた人は、ひとりで持ちにくい便座を運んで頑張っていました。出来上がりを「どうです!」と写真に撮ってお見せしようかと思ったのですが、恥ずかしがっているようなので止めました。

2024年05月29日

バラが咲いた

いま家の庭は、花盛りになっています。とくにバラは虫がつきやすかったり、病気になりやすかったりで、手がかかるそうです。妻は「ご機嫌をうかがってるのよ」と言いますが、水は足りているのか、肥料は足りているのか、バラにたずねるようにして手入れをするすそうです。

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2024年02月25日

カウンセリングの料金

仙台に住んでいる娘が、「お父さん、値上げしないの?」と妻に聞いたそうです。ガソリンや食品など、暮らしに必要なものが値上がりしているし、預金は目減りしていくしで、私たちの家計や老後を心配してくれているんでしょうか。それとも、仙台では給料が上がっているのかな? それは聞いてみないと分からないことだけど、カウンセリングの料金というのは、なかなかに奥深い話題なのです。その気になれば、本の一冊くらい書けるかもしれません。

「あゆみカウンセリングルーム」を立ち上げた頃は、おいでになる方の収入によって料金を決めていました。同じ5千円、1万円であっても、年収によって意味合いが異なってきます。実際にアメリカではレーティング・スケールというものがあって、無収入の人はタダ同然でカウンセリングを受けることができたりします。お金の意味合いだけでなく、収入の再分配というか、満たされた者が持たざる者を助けるということなのかもしれません。でも日本では当たり前でないことを実践しようとすると、それがひとつのハードルになるし、私の方も足元を見るような気分になったりもして、一年くらいで止めてしまいました。以後は一回6千円をいただくことにして、値上げはしていません。

私の場合は、初めから安めの料金でやっていくことを考えていました。都会だったら1万円が相場かもしれないけど、ここは最低賃金が全国でも最低ランクの岩手県です。毎週通うとなると、きつい人が多いだろうと考えました。街中でオフィスを借りると家賃を払うのに大変だけど、自宅に造ってしまえば固定費は圧縮できます。スクールカウンセラーや企業のコンサルタントなど、アウトリーチの仕事をかけもちすれば生活を維持できます。「安くする」ためにわざわざ二足のわらじを履くのはオカシイと思う人もいるかもしれませんが、社会的な活動をすることはカウンセリングルームを閉鎖的な空間にしないためにも意味があると思っています。

考えてみれば、カウンセリングや心理療法ほどぜいたくな行為はなかなかありません。訓練を積んだ専門家としてつきっきりで関わるのですから、1回2万円、3万円もらっても良いのかもしれません。1回3万円で1年通ったとして150万円、それでも生き方を変えて心安らかになれるとしたら、ぼったくりとも言えないでしょう。学校に通っても、病院にかかっても、信仰をしても、他のどこに行っても得られない効果なのですから。それに仕事がうまくいくようになれば、そんな金額はすぐに回収できてしまいます。実際にいまアメリカでサイコロジストの面接を受ければ、2〜3万円くらいかかると思います。

ただ私としてはカウンセリングが「人の弱みの上に成り立つ営み」であることを知っていながら、専門性に応じた料金を請求するのもどうかな?と思います。専門性と言えば聞こえは良いけれど、人さまの心のうちに分け入るのはおせっかいとか野次馬根性とも言えるわけで、要するに自分の好きなことをさせてもらっているというこです。

それでは料金は安ければ安いほど、良いのでしょうか? 公的な機関で無料で行うとか、健康保険でカバーして3割負担だとか、うんと安くすれば誰でも気軽に受けられるかもしれません。でも私は「安い」は「易い」だと考えています。イギリスのセラピストの間では「健康保険でやる心理療法は効果が低い」と、言い伝えられているそうです。人とは現金なもので、身銭を切らないと日常から切り離すことが難しくなります。心理療法ではセッションは日常と異なる特別な時間ですし、心理療法を受けている期間の暮らしもまた特別なものになります。そうならなければ、人は変わっていきません。

たとえば私が中高生の頃はレコードはとても高くて、一年に2枚か3枚買えるレコードを、幾度となく繰り返し聴いたものでした。一家に一台の「ステレオ」で、親には「ギャーギャーうるさいだけの音楽」と言われながらも、レコードプレイヤーに盤を置いて針を落としたものです。洋楽だとジャケットや歌詞カート、解説をじっくり眺めながら、特別な時間を過ごすことができました。だから音楽だけでなく、うっとりした気分やミュージシャンへの憧れまで脳内再生できます。いまやスマホやパソコンがあれば、ポチッとするだけで家族の手前とか考えずに、しかもタダで、どんな曲でも聴ける時代になりました。身近になったことは確かだけど、そこに感動はあるのかなと思ってしまいます。「ああ、こんなもんか」で終わってしまうかもしれません。元手がかかっていれば、初めは好きじゃなくても元を取るために?聴きこみます。それでも好きにならなければ、それはまたそれで意味があるのです。

他にも「安くする」ことのジレンマはあります。私も人の子なので、同業者を見渡して「1万円でもリーズナブルだよね」と思うところもあれば、「これで1万円を取るの?」と思うところもあります。「6千円」を「安いから大したことないんだよね」と思われたくない、そういう、まあつまらない見栄です。もう一つは、これから開業しようとする人を圧迫しやしないか、と思ってしまうことです。「あの人が6千円でやっているのなら、自分は……」と思う人もいるかもしれません。自意識過剰かもしれませんが、これから開業する人たちのジャマにならないようにしないと、とも思うのです。たとえば盛岡は自家焙煎珈琲のお店が驚くほどあって、スタバがつぶれるような街です。長いこと強気の値段で頑張ってきたお店があったので、若い人たちが後に続いて妥当な値段で珈琲を提供するようになりました。

カウンセリングルームの経営がうまくいくということは、沢山のクライエントから高い料金をいただいてもうかるということではありません。続けて通ってくれる人の割合が多い、目標を達成できる人が多い、そうした経営を長く続けられる、ということが「うまくいっている」のです。あれこれ書きましたが、いまのところすぐに値上げをしようとは考えておりません。

2023年08月29日

ペンキ塗り


「あゆみカウンセリングルーム」も、開業して21年が過ぎました。自宅を建て増しして相談室を作り、その入り口には看板を作ってもらったのですが、長いこと雨露や風雪に耐えて来ただけに、赤さびが浮き出てくるようになりました。


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「これはさすがにヒドイなあ、電話して塗り直してもらおう」と思いつつ、つい億劫になって時間が経つばかりでした。業者さんに頼むとなれば日程を調整して、待っていなくてはなりません。もう面倒だから自分でやってしまえと、ホームセンターにペンキを買いに行きました。赤さびをワイヤーブラシでこそげ落として……と思っていたのですが、いまは「赤さびの上から塗れます」という塗料があるのですね。赤さびを黒さびに変えてしまうとか。ホンマかいなと思いつつ、楽ちんを決め込んで買ってきました。

その塗料なのですが、油性でうすめ液が要るのはちと抵抗があったし、強粘度のためにハケの毛が抜けて塗面にへばりつくのにも閉口しましたが、結果的にはとても良かったです。赤さびはきれいに塗りつぶすことができたし、粘度のおかげでボタついたりしませんでした。ナニ近くに寄って見なければ、毛がついているのなんか分かりません。こんなに簡単にできるのであれば、もっと早くやっておけば良かったと思いました。出来上がりを、ごらんあれ。


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2023年03月23日

コロナウィルス感染対策について

春分の日も過ぎて、いよいよ春の胎動が感じられるようになりました。新型コロナウィルスの感染防止について、マスクの着用が「自己判断」となりました。でも当相談室では、決して広いとは言えない空間でお話をすることには変わりありません。お互いに安心して過ごすことができるように、これまでと同様の感染対策をとらせていただきますので、ご了承ください(マスクの着用、アルコール消毒、検温、換気)。マスクをお持ちでない方には差し上げますので、どうぞご遠慮なくお申しつけください。

2022年12月29日

本年もお世話になりました

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昨日をもって、本年の開室を終了いたしました。北上川のほとりを歩いていると、たくましく生きている白鳥や鴨の姿を見ることができます。おいでいただいた方々、地域の方々、同業のお仲間、そして私の家族と、沢山の人々から支えられてきた一年でした。みなさまに感謝いたします。来年もみなさまのお役に立つことができれば、うれしく思います。


2020年04月10日

新型コロナウィルスへの対策について

まだ岩手県では感染者が確認されていませんが、いまはどこに住んでおられる方も、感染の防止を考えておられると思います。いまは自身の体温チェックやマスク着用、部屋の換気など、できる対策をしながら対応させていただいております。感染してしまうのではないか、感染させてしまうのではないか、そうしたことを気にしながらでは、カウンセリングにも影響が出て来るかもしれません。ご希望の方には、スカイプや電話での相談をお受けしております。休業などの措置を取る場合は、こちらのブログでお伝えしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。そして、みんなの力で感染が収束するのを願ってやみません。

2018年12月28日

セラピストでいること

毎年のことですが、臨床心理学を志す大学院生の実習を引き受けています。実習と言ってもこちらが出向く形で、面接のデモンストレーションをしたり、お話ををしたりです。「開業心理臨床」の立場でお話をするので、相談室を作ったいきさつから始まって、どのようにクライエントに会っているのかなど、限りある時間の中で臨床の現場を想像できるように話しています。パワーポイントは視覚の刺激にとどまってしまうというか、言葉の力が減る感じがするので、使いません(←面倒くさいだけ?)。学生も少ないので、講義と言うよりは対談のようになります。

その中でトシヨリの話なんかしてもなあ……とも思いつつ、自分がどのようにしてこの道に入ったか、そして歩んで来たかも伝えるようにしています。ちょっと個人的なことに立ち入り過ぎるきらいもあるのですが、セラピストになるということは、生き方を選ぶことになるので、その参考になればと思っています。もちろん臨床心理学を学んでもセラピストにならない人もいるでしょうし、それはそれで良いのです。

今年もあとわずかで、終わりです。年末になると、どんな一年だったかを思い起こします。今年は発達障害のある方の、家族の方からの相談が増えたように思います。でも大人のうつやパニック障害、青年期の方の自立にかかわる問題などは相変わらず多いです。精神科医は精神医学の診断に基づいて、薬物療法で症状をコントロールしてくれます。かたや心理療法のセラピストとして、どうアプローチするのか? 自己の存在感や効力感、あるいは「生きる意味」を感じにくくなった人に、主体的な生き方ができるようにお手伝いしていくのが、私たちの仕事なのかもしれません。

セラピストは、一人ではセラピストにはなれません。クライエントが来てくださって、面接室があって、連携をもってくださる方々がいて、心理療法をすることができます。今年も大勢の方々から、お世話になりました。ありがとうございました。なお明年は1月5日(土)から開室いたします。1月19日(土)はお休みをいただいて、20日(日)は開室いたします。

2017年12月29日

仕事納め

今年は今日、12月29日(金)で仕事納めとなりました。ここは複数の人が働いている事業所と違って、私ひとりでやっています。職場の全員で大掃除をして、納会のようなことをするなんてことはありません。それでも照明やブラインドなどの掃除をしたり、ワックスをかけて、スーパーで買った小さな鏡餅を置きました。吹けば飛ぶような零細レベルとは言え、「これでも事業所を営んでいるんだ」みたいな自覚がわいてきました。

子どもの頃の話ですが、私の祖父母は麹や味噌を作る「麹屋」を細々と営んでいました。祖父母はもともと、小学校の先生をしていました。退職してから、曽祖父がやっていた麹屋を継いだらしいのです。夜中に起こされて室(むろ)の麹のトレイを入れ替えて温度調節をしたり、煮て柔らかくなった豆をミンチにする手回しの機械をグルグル回したり、そんな手伝いをしたことを憶えています。麹を作るときは納豆を食べてはいけないとか、お客が米を一升持ってきたらできた麹を一升渡せばいい(増えた分が麹屋の取り分になります)とか、教わった憶えもあります。もしや祖父は私に麹屋を継がせたくて、手伝いをさせたり教えたりしたんでしょうか? そんな雰囲気はみじんも感じなかったので、そうではなかったと思います。

祖父は手広く商売をやろうなんて気はさらさらなく、昔からおつきあいをしていたお客様から喜んでもらえるならそれで良いと言う感覚だったのではないかと想像します。なので規模は小さくても誠実な仕事を続けて、お客様からは信頼されていたようです。年で廃業してから何年経っても「青山麹屋さんですか?」という電話がかかってきて、難儀をしていました。考えてみれば私のカウンセリングルームも製造直売のようなもので、職人でもあり商人でもある、祖父が営んでいた麹屋のようなものかもしれません。

今年もお客様たちから支えていただいて、ここまでやってきました。ありがとうございました。

2017年03月30日

15周年

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 2002年の4月1日に、「あゆみカウンセリングルーム」を開きました。あと二晩眠れば、15周年ということになります。どこで調べてくるのか、「こんなボールペンを作りますよ」と業者さんがサンプルを送ってくれました。書き心地も良いしお値段も手ごろで、作ってもらおうかと一瞬は思ったのですが、さてだれに配るのか、もらった人は持ち歩くのに気を使ったりしないのかなどと考えて、やめにしてしまいました。

 たとえば法律事務所や会計事務所と同じような感覚で、ノベルティグッズを持ち歩けるようにカウンセリングが一般的なことになれば、良いのですが。「30周年」でも、そうなっていないでしょうね。「50周年」になったら、そうなっているかもしれません。でも自分の方が、保ちそうもないです……。もし生きていたにしても、息をしているだけかもしれない。もっとも成瀬悟策先生は、私が50周年を迎えることになる御年93歳でも現役バリバリ、新刊も出していらっしゃるのだから、そんなことを言っていてはダメですね。まあ50周年を目指すかどうかは別として、さしあたりは20周年に向けて進歩していかなくてはと思います。結果的に進歩するかどうかは別にして、進歩していくつもりがなくては、現状維持すら難しくなっていくでしょうから。

思い返せば、15年の間に本当に多くのクライエントさんたちにおいでいただきました。これまで有形無形でお世話になった方々に、御礼を申し上げます。



2015年01月04日

新年のごあいさつ

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数年前にレコードショップで中古盤を手に入れて以来、お正月になると引っ張りだしてきてはカウンセリングルームのレコードプレイヤーに載せています。もちろん自宅にもオーディオ装置はあって、音はそちらの方が良いのですが、家人に迷惑をかけずに(邪魔をされずに)ゆったりと、10枚組のLPを聴くのが私の恒例になっています。

キース・ジャレットが1976年に日本でソロピアノのコンサートツァーを行ったのですが、その時のライブ録音です。キースが北海道で「ヒグマ」の直訳英語の「サンベア」を聞いて面白がり、タイトルにしたそうです。録音は名エンジニアとしても、オーディオ評論家としても高名な菅野沖彦氏。今はCDの6枚組になっているようですが、当時はLPの10枚組でお値段は1万5千円、聴いてはみたいもののそのボリュームと出費に腰が退けていました。

キース・ジャレットのソロピアノは特定の曲を演奏するのではなくて、全く無のところから音を紡いでいきます。「ケルン・コンサート」はCMに使われていたこともあって、耳にした人も多いと思います。これは相当な集中力を必要とするわけで、最近では大阪で聴衆のセキ?と野次にガックリ来たキースが、アンコールなしでそそくさと止めてしまったというエピソードがありました。

ピアノを弾き続けたキース・ジャレット、録音した菅野沖彦、ECMのプロデューサーのマンフレット・アイヒャーを始め、スタッフや聴衆も含めると、実に多くの人たちがこの作品に没頭していたのだと思います。カウンセラーとして仕事をしてゆくことも、集中力や持久力を求められます。このアルバムは、自分の営みと重ねて聴いているのかもしれません。

本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

2014年08月03日

ウェブサイトの更新

私の仕事場のウェブサイトは、10年前に作ったきりでした。さすがにそれだけ経つとブラウザの方も変わっていって、ずれて表示されるようになってしまいました。スマートフォンで見てくださる人も増えているし、自分の顔写真なんかも途中で一回変えたような気がするけど、髪の毛の量がけっこう違うような……。そんなわけで新しくしようと思ったのですが、スマホ対応はどうしようかと。検索したら、フリーで使えるスマホ対応のテンプレートがあったので、自分で作ってしまいました。写真の自分撮りとか、やってみたのは初めてでした。よろしかったら、ご覧になってみてください。
http://ayumicr.jp

2013年12月28日

箱庭療法の棚

昨日で御用納め、という人もいらっしゃると思います。私は今日の夜までしっかり仕事ですが、世間の人々に必要とされているのは、ありがたいことです。昨日はわがカウンセリングルームの準構成員(?)である、奥さんに手伝ってもらって、箱庭療法の棚を大そうじしました。

相談室の棚には、おびただしい数の人形や模型が並んでいます。大学の研究室にも箱庭療法の用具が置いてあったりもしますが、平均的なセットの倍はあるのではないかと思います。私が買い足したものも数点はありますが、ほとんどは以前に勤めていた星の丘クリニックの岡部院長が買い集められたものです。

今回はぜんぶ棚から取り出して、ひとつひとつを塗装用のハケで払いました。さすがに洗うことまでは、できませんでした。壊れたのは接着剤でくっつけて、直せないのはご苦労さまで引退してもらいました。そして棚もきれいにふいて、収納用のケースも新調して……と、まあご覧の通りです。あえて「ビフォー」は載せません(^^;)。

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これまで相談室に来ていただいた方々、岡部院長をはじめ星の丘クリニックのスタッフ、臨床に啓発をいただいた先生方、そして私の家族……。みなさんに感謝して、今年の御用納めとします。

2013年08月21日

高校生の職業調査

夏休みも終わって、昨日からスクールカウンセラーに出ています。夏休みには、高校1年生4人がインタビューをしにきました。ふだんは自分がインタビュー(面接)する立場なので、逆転するとどうも勝手が違って話しにくかったです(^^)。

彼らは、自分たちが興味をもっている職業について、すでにその仕事に就いている人にインタビューをして、レポートにまとめるのだそうです。それを文化祭で発表するのだとか。「心理カウンセラー」ということで、この仕事に就いたきっかけとか、仕事をしていて感じること、高校生のうちにしておくべきこととか、色々とつっこまれました。

私自身は高校時代はほとんど進路も考えず、ぼんやり過ごしていました。この仕事に就いたのも偶然のようなものなので、彼らが期待していたような話はまったくできませんでした。

「いやあ、わるいねえ……。いい話もできなくて……」
「いえ、良かったです。こんな感じでも良いんだって、楽になりました」

まあそんな感じです。あんまり「これで良い」と思ってもらっても、先生方は困るような話かもしれません。でもせっかくの高校生活なので、楽しく過ごして欲しいなあ、と思います。

2013年06月07日

どこで相談室を開くか

臨床心理士が開業をするとして、相談室をどこに作るか。これは大問題です。

街中の便利の良いところに、事務所を間借りするのが一般的なようです。集客ということを考えれば、それが一番有利ですし、家族に心理的な負担をかけることもありません。ただ問題は家賃がかかることと、構造や内装などが相談室に適しているとは限らないことです。リフォームするとなれば、契約を解除する際に元に戻すことも考えておかなくてはなりません。

駅の近くに空き地があれば、専用の一戸建てを造ってしまうのが理想かもしれません。しかしよほど資金力のある人か、数人のスタッフで運営するような場合は別として、現実的には難しいと思います。結果的にはそのコストをクライアントが負担することになるので、面接費用は高額になってしまうでしょう。

自宅で開業をすることも、考えられます。精神分析は創始者のフロイト以来、自宅開業が中心でしたし、催眠療法で高名なミルトン・エリクソンの診察室には、彼の子どもたちが出入りしていたそうです。家賃のかからないのは良いですが、家族がいる場合は、閉じられた空間をどう確保するかが問題になります。セラピストにとっては、生活の場でそのまま面接をするのは、気持の切り替えが難しくなるということもあります。

私の場合は、たまたま土地にゆとりがあったので、自宅に建て増しをすることができました。県庁所在地の盛岡市からは車で40〜50分かかるので、立地としては良いところではありません。自分のペースでゆっくりと、納得できる仕事をするにはよい場所かなとも思います。

2013年03月31日

面接室の広さ

明日は4月1日、わがあゆみカウンセリングルームの開業記念(するほどのこともない?)日です。従業員に紅白饅頭を配るのも昔風で良いなあと思ったりもするのですが、あいにく従業員は私ひとりしかおりません。家族のために紅白饅頭をお菓子屋さんに注文するわけにも、いかないんでしょうね。でもこの時期になると、開業するまでに準備したことなど、思い起こしたりします。

病院やクリニックに勤めていたり、スクールカウンセラーで学校に出向くと、カウンセリングは与えらた部屋でするしかありません。自慢ではないけれど、あちこちで仕事をしてきたので色々な部屋を経験しました。狭かったり暗かったり、暑かったり寒かったり、雑音が入ったり、声が響き過ぎたりは、まだ普通の範囲であります。窓がなかったり、トイレ臭かったり、物置に使われたり、音楽室の隣だったり、頭上で校内放送が爆音で鳴ったり、相部屋で人の出入りがあったり……。思い返せば文句たらたらなのですが、それでも与えられた部屋で、できる限りの対応をしなくてはなりません。

だれかは忘れました(忘れたから書ける?)が、ある大学の先生が「紙と鉛筆さえあれば、カウンセリングはできる。何の元手も要らない商売だ」みたいなことを書いていましたが、この人は実際にやったことがなかったのでしょうね。「水泳は海パン一丁でできる、金のかからないスポーツだ」と言っているようなものです。プールはどうするの?ということです。

部屋の作りは、いわゆるアメニティにとどまらず、カウンセラーもしくはセラピストと、クライエントの双方が安心感を持てるかどうかにも関わってきます。クライエントが自分の内面をオープンにできるかどうかにも、影響を与えます。また自分で開業してみるとよく分かりますが、どのような部屋か、どのような家具が置かれて絵が飾られているか、そういったことは全てメッセージとしてクライエントに伝わります。

面接室の造作や調度は、雇われているうちはどうにもなりません。でも自分で開業するなら、自由になります。設計から家具の選択まで、それまでの20年近くの経験を活かして、理想的な面接室を作ったつもりです。思えばどんな部屋にするのか、あれこれ考えている時が一番楽しかったような気もするのですが、ちょっと思い出して書いてみます。

まず広さについて、です。

千利休が作った茶室は四畳半が標準で、二畳、あるいは三畳の茶室もあったそうです。狭い空間は逃げ場のない圧迫感を与えることもあり、親密さを育むこともあります。油断すれば殺される戦国時代ですが、狭い茶室に押し込められても己を保たなくてはなりません。二畳間で織田信長と向かい合ったら、たいていの人は蛇ににらまれた蛙になってしまうでしょうね。私は茶道の心得はありませんが、千利休はコミュニケーションの芸術家だったのではないかと思います。

話が横道に逸れました。狭いのは威圧感を与えますが、広すぎるのも落ち着かなくなります。三十畳もある部屋とか、天井の吹き抜けは好ましくないでしょうね。日本人の生活感覚からしたら、8畳から12畳くらいが、適しているのではないでしょうか。我田引水のようですが、あゆみカウンセリングルームの面接室は10畳くらいです。他の要素については、また次回に。

2012年12月11日

待合室の絵


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先月から、待合室の絵がかわりました。森本将平さんという、若いイラストレーターの作品です。以下の略歴にある「Apartment」はブティック、「六月の鹿」は自家焙煎の珈琲店で、どちらも盛岡にあります。個展を開くまで絵を売る気がなかったような人で、非売品の作品もありました。

森本将平/Morimoto Shouhei  イラストレーター。1986年生まれ。東京在住。セツ・モードセミナー卒。桑沢デザイン研究所卒。主な仕事は雑誌「BIRD」「TRANSIT」挿絵、SPBSフライヤー・ポスター「生活工房アニュアルレポート」、「信じられるデザイン」展など。

2012年、「ホトリ」でのグループ展「とぶたましい」に参加。「SUNDAY ISSUE」にて三宅瑠人くんとの二人展、「TRIBUNE Art Exhibition No.01 RYUTO MIYAKE × MORIMOTO SHOUHEI」。「Apartment」「六月の鹿」二会場にて、個展「湖畔にて、ダンス」。吉田萌と「miaa」としても活動。画冊子「Motherland」の発刊など。
http://www.miaamiaa.com/

2012年04月01日

10周年

おかげさまで、今日で「あゆみカウンセリングルーム」は10周年を迎えました。大きなトラブルはなかったと思いますが、10年ともなると色々なことがありました。お客さまの役に立つことができて、この仕事をしていて良かったと感じたこともありましたが、十分にお役に立てないこともありました。うっかりダブルブッキングをしてしまったり、申し訳ないミスもありました。

個人的にはあれこれ思うことはありますが、対外的には記念イベントをするわけでもなく、実践の日々をつないでいくだけです。「よくこんな所でやっているなあ」と同業者に言われたこともありましたが、たしかに大きな町の中にあるわけでもなく、駅に近いわけでもなく、これでよく絶え間なくお客さまが来て下さったものだと思います。沢山の方々に支えられて来ました。この場を借りて、お礼を申し上げます。

2011年03月14日

東北関東大震災に際して

安否をたずねてくださった方が、大勢いらっしゃいました。ありがとうございました。
幸いなことに、家族ともども被災することなく過ごしております。しかし沿岸部には、安否の分からない知人が何人もいらっしゃいます。本当に沢山の方々の苦しみに、心を痛めております。救出作業も難航しているようですが、一人でも多く助かることを切に願います。