2020年09月18日

サブスクの反対側にあるもの

「無料体験」に引きずられて、密林のサブスクというか、サブスクの密林というか、ほぼ独占事業化しつつありそうな、某社の聴き放題サービスに申し込んでみました。私がつないだのは、毎月CD1枚分くらいの料金で、CDなみあるいはそれ以上(いわゆるハイレゾ)の音質で6500万曲のコレクションが聴き放題というプランです。Windows10のPCにプレイヤーのアプリをダウンロードして、USB経由でDACに、そしてアンプからスピーカーにと、という経路です。

はっきり言って、音質は良くないです。何となくキレイなんだけど、ベールがかかっていてツルンとした、のっぺりしたような音です。同じアルバムをCDと聴き比べてみるまでもなく、雑食性の私の耳でも分かります。サンプリング周波数がどうとか、16ビットがどうとか、そんなデジタルのスペック以前のレベルだと感じました。もちろんパソコンはノイズの巣だし、USBなんていい加減な転送なので、オーディオ用のネットワークプレイヤーを使えば確実に音質は良くなるのでしょうが、この深い溝を超えることができるのか? かなり怪しいです。それと曲の表示がロックやジャズはともかく、クラシックは曲名が英語だと長くなって枠の中に収まらず、選曲しづらいです。

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食通で知られた開口健は、「自腹を切らないと料理の味は分からない」と書いていました。そんな言葉を思い出します。聴いてみたいアルバムを、自腹を切って手に入れる。自腹は切るけど、なるべくなら安く。手に入れたからには、モトを取るのに聴きこむ。一枚のCDを、レコードを、良い音で演奏するためには、装置にもこだわる。聴いてみてつまらないのは、時間がもったいないからお蔵入り。作品鑑賞とは高雅なはずなのに?、「お金」と「時間」にこだわる下世話な性分が、集中を生むような気もします。

サブスクの恩恵で、いままでなかなか手の届かなかった音楽も聴いています。聴いてはみたいけど、わざわざ買うのかなという、そういうアルバムですかね。サブスクを入れたらいつも満腹気味になってしまって、かえって聴かなくなるんじゃないか、そんな気もしてきます。
posted by nori at 21:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 音の考現学

2020年08月13日

ロケット・マン

たぶんガッカリするだろうから、見ないでおこうかなと思っていました。思いがけず妻がブルー・レイを借りてきてくれたので、あっさりと抵抗が崩壊しました。観てみたらやっぱりと言うか、事実とは異なる脚色もさることながら、タロン・エジャトンの歌がどうにもいただけませんでした。詩人のバーニー・トーピンとエルトンの母親を演じた俳優さんは、好演していたと思います。

スターダムにのし上がったエルトンが、奇抜なコスチュームでグループセラピィに登場します。「治したくて来た」とは言うけれど、彼の場合はアルコール、薬物、買い物、セックスへなどの、依存症のオンパレードです。性的な指向はバイセクシャルで、慢性的に自殺願望も抱いていました。何を治したいのか? 私が勝手に思ってしまうのは、「必要とされる必要」にかられてしまうことかな、ということです。エルトンは家族や恋愛の相手だけではなく、ライブに集まってくる聴衆、サッカーチーム、あるいはエイズで苦しんでいる少年など、さまざまな人々に手を差し伸べます。毒舌家とも知られ、ネットで物議をかもすこともしばしばでした。

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もしかしたら、エルトンは「望まれない妊娠」で生まれた子どもだったのかもしれません。誰からも必要とされていなかったから、「必要とされる必要」にかられるようになったというのは、単純に過ぎる想像でしょうか。
posted by nori at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画に見るこころ

2020年06月23日

リザード

パソコンやスマートフォンのブラウザを開くと、勝手に「興味のありそうなこと」が表示される時代になりました。いきなり「イギリスのジャズ・ピアニスト キース・ティペット氏逝去」などと出てくると、ちょっとびっくりします。彼が心臓発作で72歳で亡くなったことに、ではなくて、あまりにもニッチな「興味のありそうなこと」を突いてきたことに、です。

ジャズ・ファンの中でもキース・ティペット名義のアルバムを持っている人は、よほどの剛の者と言うか、痴れ者と言うか、まあその類の人なんでしょう。私は一枚も持っておりません。せいぜいプログレッシブ・ロック(なつかし〜)のキング・クリムゾンに参加した作品です。有名なのは「ポセイドンの目覚め」の「キャット・フード」とか、「アイランド」の表題曲のソロとか、でしょうか。追悼のために、学生時代から聴いていなかった「リザード」を引っ張り出して聴いてみました。ずっとラックに収まって日の目を見なかったのは、ひとえにゴードン・ハスケルのヴォーカルが気にくわなかったからです。一曲だけイエスのジョン・アンダーソンが歌っていて、これは素晴らしい。他の曲もジョンが歌っていれば……なんて思っていました。

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キング・クリムゾンはギタリストのロバート・フリップを核に今も活動を続けているようですが、私は「レッド」まででフォローを止めていました。やっぱり「レッド」が一番好きかもしれません。デビューアルバムの「クリムゾン・キングの宮殿」はビートルズの「アビー・ロード」を抜いたとかで、ドデカ顔のジャケットとともに超有名。そのあとは「アイランド」、「太陽と戦慄」……と傑作が目白押しで、「リザード」は地味なアルバムです。でもあらためて聴いてみると、なかなかに良いなあと思うのです。若いときはロックしか聴いていなかったので散漫に感じていましたが、スリリングなインタープレイはさすがに即興演奏を得意としたグループならでは、です。キース・ティペットのプレイも切れ込みが鋭く、さすがにフリー・ジャズとロックの間を行き来した人らしい、ツボにはまった演奏を聴かせてくれます。

posted by nori at 21:49| Comment(0) | TrackBack(0) | おやつにロック

2020年05月27日

箱が好き

テレワークでパソコンに向かっていると、猫がジャマをしにくる。「かまってよ〜」って感じでしょうが、「ネコハラ」と呼ばれて、飼い主を困らせて(喜ばせて)いるようです。でも近くに箱を置いてしまえば、さっさと箱に収まってしまうのがまた猫の特性であって、気ままですね。荷造りのために段ボールを置いていたりすると、うちのエリックも、こんな感じです。

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posted by nori at 07:58| Comment(0) | TrackBack(0) | にゃんころじい

2020年05月05日

STAY HOME

新型コロナウィルスの感染防止のために、家で過ごしましょう、ということになっています。私は家に居てもやることがあれこれ(エラいことから、下らないことまで)あって、「外に出れないのがストレス」と感じることはありません。でも報道を通じて世間をのぞいて見ると、子どもたちも、大人たちもストレスを抱えているように見えてしまいます。

私は音楽を聴くのが好きなのですが、音楽そのものには疎いです。スコアを見ながら(ひょっとしたら自分が指揮者になったつもりで)、オーケストラを聴くような人もいるようですが、そんな芸当はとてもとてもできません。でも作曲者がどんな人柄だったのか、どんな人生を送ったのか、時代背景は……みたいなことを調べるのは好きです。大作曲家と言われるような人たちには、人格円満な常識人はあまりいません。ま、いまで言えばバンドマンですからね。世間の枠組みにすっかりはまっているような人は、非日常を作ることが難しいのかもしれません。

バッハは17世紀に活躍した人ですが、奥さんに先立たれています。歌手のアンナ・マグダレーナを後添えに迎えて、二人の妻との間に20人の子どもを設けています。ただしその半数は、生まれてまもなく亡くなりました。一人は20代で亡くなりました。当時の人にしては長生きしましたが、最晩年はインチキ医者に眼の手術を受けて、それがもとで亡くなっています。当然のことながら疫病もあれば医療も未発達で、人々はいつ天に召されるか分からない日常を送っていました。だからこそ神に頼り、教会に支配されていたのでしょう。バッハは気候が良くなると「葬式が減ると収入も減っちゃう」とか、ぼやいていたそうです。「死」はすぐとなりにあるもので、生きていることだけで、十分に幸せを感じられる世の中だったのかもしれません。

考えてみればいまの私たちは、衣食住のことで不自由せず、家事は掃除機や洗濯機などのデンキ召使いが手伝ってくれて、移動にはお抱えの馬車(クルマ)を使える、バッハの時代だったら王侯貴族と同じような暮らしをしているわけです。「経済に甚大な影響が出ている」らしいのですが、最低限の衣食住を満たす以上のことで経済が回っているということなのです。私が生業にしている心理療法とかカウンセリングもまさに、その類のことです。田を耕すわけでも、魚を獲るわけでも、服を作るわけでもないのに生かされてきたのですから、ありがたいことだと思います。

「ステイ・ホーム」で、運動不足にならないように筋トレに励むとか、家族団らんの時間を過ごすとか、もちろんけっこうなことだと思います。「いま生きている」ことを味わう、瞑想も取り入れてみたらどうでしょうか。ワイドショーを見てあっちこっちに不満をため込むよりはストレスを減らして、免疫力のアップにもつながるのではないかな、と思います。
posted by nori at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス

2020年04月10日

新型コロナウィルスへの対策について

まだ岩手県では感染者が確認されていませんが、いまはどこに住んでおられる方も、感染の防止を考えておられると思います。いまは自身の体温チェックやマスク着用、部屋の換気など、できる対策をしながら対応させていただいております。感染してしまうのではないか、感染させてしまうのではないか、そうしたことを気にしながらでは、カウンセリングにも影響が出て来るかもしれません。ご希望の方には、スカイプや電話での相談をお受けしております。休業などの措置を取る場合は、こちらのブログでお伝えしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。そして、みんなの力で感染が収束するのを願ってやみません。